日本透析療法学会雑誌
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血液透析によるリン除去率・量の検討
大平 整爾阿部 憲司長山 誠太田 裕之渡辺 敏坂本 哲哉
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1988 年 21 巻 11 号 p. 1021-1026

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抄録
75名の血液透析患者の透析前後の血清リン値の測定からリン除去率を算出してみると, 52.3±9.98%であった.
リン除去率は透析血液量とは有意の相関を示さず, また, 再生セルロース, EVAL, PAN, cellulose acetateの各種膜の間にも有意差を認めなかった. ただ, 透析前血清リン値の高い症例が有意に高い除去率を示した.
Rhodial 75を透析液供給装置とし, 5時間透析をH 12 2400 (1m2, PAN) で行った場合のリン除去量は540-1500mgと大きな幅を示し, 透析前血清リン高値例のそれが有意に大きかった. 一方, 当センター透析患者のリン摂取量は982±192mg/day (mean±SD, n=50) と食事中のリン制限は決して十分ではなく, これを反映して透析前血清リン値も5.5mg/dl以上例が月別にみると30%から65%に及んだ.
無尿血液透析患者のリン排泄量を糞便中に400mg/日, 血液透析による除去量1,000mg/回とすると, 1日当たり約830mg/日と概算され食事中のリン制限の必要性を再確認した.
現在, シングル・パス方式の透析液供給装置において, 各種透析膜のリン除去量を実測中であり改めて発表する予定である.
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© 社団法人 日本透析医学会
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