日本透析療法学会雑誌
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著明な高アルドステロン血症を呈する慢性血液透析患者の生体腎移植後の動態
椿原 美治中西 功倭 英司横山 建二北村 栄作岡田 倫之飯田 喜俊佐川 史郎新 武三
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1988 年 21 巻 2 号 p. 173-177

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抄録
長期血液透析患者の中に高レニン (5ng/ml/hr以上) を伴う著明な高アルドステロン血症 (160ng/dl以上) を呈する症例が約20%に存在し, 低血圧症例が多い. このような病態を解明するために生体腎移植前後の血漿レニン活性 (PRA), 血漿アルドステロン値 (PAC) と体液バランスの変動について検討した.
19例の生体腎移植成功例 (自己腎は残存) のうち, 移植前にPRAまたはPACが測定されていたのは11例であった. 11例中透析前PRA, PACが高値を呈する例は7例 (64%) におよび, うち6例が透析中に低血圧発作を呈していた. 透析前後の各電解質濃度や透析間の体重増加率は他の症例と差はなく, 移植後の腎機能の回復は共に順調で両群に差はなかった.
状態が安定する術後15日目における体重増加率 (透析療法期の目標体重との比率) を比較すると, PRA, PACが高値でない症例 (N=4) では0.2±1.0%であったのに対し, PRA, PAC高値群 (N=7) では11.1±1.4%と有意の増加を呈した. また高値を呈したPRA, PACはともに移植後3-5日で正常範囲内に低下した.
以上より長期透析患者に見られる高レニンを伴う著明な高アルドステロン症の主因は, 透析の目標体重が, 腎機能が正常である場合に仮定される真のbody weightを下回り, 慢性的な脱水症状にあるためによると推測され, PRA, PACの測定が血液透析療法における目標体重設定の一指標となり得ると考えられる.
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© 社団法人 日本透析医学会
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