抄録
通院透析の20例に炭酸カルシウム1日3gを2週以上投与して, 明らかな血漿燐 (P) 値低下 (p<0.01) と血漿カルシウム (Ca) 値上昇 (p<0.01) が観察され, pH (p<0.01)・BE (p<0.01)・HCO3(p<0.05) も改善された. 著効例が多く, 多数で高Ca血症等を警戒して2-4週でビタミンD (VIT. D) あるいは炭酸カルシウムを中止または減量したが, 2名は炭酸カルシウム1日3gを投与しても血漿P値が8mg/dl以上の高値で効果不十分であった. Ca値上昇とP値低下の変化量相互は相関し (r=0.47, p<0.05), この相関はVIT. D非投与群ではっきりした (r=0.77, p<0.05). またVIT. D非投与群のP低下は投与群のそれより大きく, VIT. D投与のCa・P代謝への複雑な関与が示唆された. 以上, 炭酸カルシウムはCa剤, アルカリ化剤であると共に, 効果的なP結合剤であり, 便秘等の消化器症状を訴える例もアルミゲルより余程少なく, 腎不全患者にとって非常に有用な薬剤であることが知られた.
しかし炭酸カルシウムの継続投与は, しばしばかゆみ, ふらふら感等の高Ca血症とアルカレミアによる諸問題を招来し, 従来の透析管理法 (VIT. D投与量, 透析液Ca濃度等) とやや調整を要する. 炭酸カルシウムは, アルミゲルのように単なるP結合剤としては認識できず, Ca剤・アルカリ化剤でもあり, 3つの効果を同時に持った腎機能補助薬というべきものであって, アルミゲルの時のように安易には用いにくい. このようにかなり注意も必要であるが, 適切に用いられるならば, 炭酸カルシウムは透析患者のCa・Pとアシドーシスのコントロールのために, 最も望ましい基礎投薬剤といえよう.
我々は, 経口アルミニウム製剤の使用は中止して, 炭酸カルシウムを基礎とした新しい至適な透析管理システムが作り出されるべきものと考えている.