抄録
著者らは昭和53年以降慢性血液透析患者のカルシウム代謝異常に対して活性型ビタミンD3である1α-OH-D3を投与してきた. 過去10年間におけるその効果を経年的に評価するために, 慢性血液透析患者217名を対象とし, 透析期間によって5群に分け, カルシウム代謝異常に対する1α-OH-D3の効果を主に次の項目に関して検討した.
1) 手指骨骨X線上の骨膜下吸収所見
1α-OH-D3内服率が高い群では骨膜下吸収所見の陽性率は低下していた. 投与前に陽性を呈していた26例中17例 (65%) は1α-OH-D3内服により改善した.
2) 低カルシウム血症 (4.0mEq/l以下) の頻度
1α-OH-D3内服率の上昇につれて低カルシウム血症の頻度は明らかに低下したが, 血清カルシウム4.5mEq/l以上の頻度は必ずしも高くなく, 1α-OH-D3内服によって4.0-4.5mEq/lに維持されている例が多かった.
3) 高c-PTH血症 (10.0ng/ml以上) の頻度
透析導入1年以内に1α-OH-D3を投与開始した群では, 短期的 (3年以内) には血中c-PTHは抑制される傾向にあるが, 長期的には高c-PTH者の頻度は1α-OH-D3投与によっても漸増傾向であった.
以上の結果より, 現状での1α-OH-D3投与は長期的にみた場合PTH抑制という面で不十分と考えられた. その効果をさらに高めるためには, 透析導入早期からの投与開始と血清カルシウムを4.5-5.0mEq/lに維持するように投与量を調節することが重要であると認識した.