抄録
重炭酸透析と酢酸透析における慢性血液透析症例のCa代謝を比較検討したところ, 重炭酸透析において, Ca++2.2±0.3mEq/l, P 6.1±5.4mg/dl, Mg 2.8±0.4mg/dl, Al 45±26μg/dlであり, 酢酸透析では, Ca++ 2.5±0.3mEq/l, P 4.5±1.3mg/dl, Mg 3.7±0.4mg/dl, Al 73±77μg/dlであり, 重炭酸透析では酢酸透析に比しCa++, Mg, Alは低値, Pは高値を示していた. しかし, 重炭酸透析におけるC-PTHは1.9±2.3ng/mlで, C-PTH 1.0ng/ml以下は30/75例 (40.0%), 1.0-2.0ng/mlは25/75例 (33.3%) であり, 酢酸透析のC-PTHが3.2±1.4ng/mlで, 1.0-2.0ng/mlが11/55 (19.3%) であるのに比較して, 重炭酸透析のC-PTH低下が認められた.
同一症例に重炭酸透析と酢酸透析を施行したところ, Ca++, P, pHには差が認められなかったが, 透析4時間目で重炭酸透析では, C-PTHは108.7±20.8% (前値を100%) と不変であったが, 酢酸透析では129.9±31.8%と有意の上昇が認められた.
重炭酸透析と酢酸透析で導入した症例を比較したところ, 導入6ヵ月でCa++, Pの変化には両透析に差は認められなかったが, C-PTHは重炭酸透析で42.3±3.4% (前値を100%), 酢酸透析で85.5±38.7%とC-PTHは重炭酸透析で有意の低下が認められた.
骨塩量では重炭酸透析では酢酸透析に比較して, MCI (用手法) では5/12例 (41.7%), MCI (MD法) では4/12例 (33.3%), ΣGS/Dでは9/12例 (75.0%), BMC/BWでは6/12例 (50.0%) に減少が認められた.
以上, 重炭酸透析においては. 酢酸透析に比較して, C-PTHの低下が認められ, 重炭酸のPTH分泌抑制作用が推測された. また, 重炭酸透析によるacidosisの増悪, C-PTHの低下による低PTH血症やlow turnover boneの発生の危険性が認められた.