日本透析療法学会雑誌
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血圧異常と腎移植
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キーワード: 血圧と腎移植
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1988 年 21 巻 6 号 p. 523-529

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抄録
腎移植前の血液透析療法時の血圧と術後の血圧の関連, およびこれに関与する因子について検討した. 1975年3月以降生体腎移植を受け, 2ヵ月以上生着して3年間経過を観察し得た72例を対象とした. 術前の週3回の人院透析中は30例 (42%) に高血圧が, 8例 (11%) に低血圧をみられた. 腎移植後は48例 (67%) に高血圧が出現したが, 術前高血圧があった例は術後もひき続き高血圧を示すことが多かった. 急性拒絶反応のepisodeが0-1回と2回以上では2回以上に有意に高血圧が多く, また慢性拒絶反応がみられたものは3例を除き18例が高血圧を呈した.
腎移植前の血漿レニン活性 (PRA) と移植後の血圧の間には関連がなかったが, 移植後高血圧のある群はないものよりPRAが高値を示した. 少数例での分腎レニン活性測定ではすべて原病腎からのPRAは移植腎のそれを上回り, 原病腎からのレニン分泌増加を示唆した.
移植後腎動脈狭窄で治療を要したものは1例のみであった. 移植後の高血圧は難治例が少なく, 約2/3の症例が2剤以内の降圧薬でよくコントロールされた.
移植前に低血圧を示した例が8例あり, うち4例は両側腎摘除を受けていた. 5例に術後, 乏尿性急性腎不全が起きたが, 8例とも手術の翌日には血圧が正常化していた.
以上より, 高血圧は腎移植後の頻度の高い合併症であり, その原因としては術前の高血圧の持続と慢性拒絶反応が重要である. 術前より高血圧が持続する例ではレニン分泌過剰が主要機序と考えられる. 術前の低血圧はとくに無腎例に多くみられ, 腎移植により速やかに正常化し, その過程よりみて健常腎組織に関連する体液性因子の関与が考えられる.
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© 社団法人 日本透析医学会
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