日本透析療法学会雑誌
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外シャントWHY NOW?
高木 光泰松永 健司山崎 親雄
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1988 年 21 巻 6 号 p. 535-543

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抄録
昭和57年4月より昭和62年3月までの5年間に, 当院で血液透析に導入された患者446名のうち, 外シャントでの導入は256名である. 当院に現存するのは83名で, そのうち50名は外シャント抜去後の動・静脈を利用して内シャント化されている. 内シャント化後の再手術率は9/50 (18%) であるが, 内シャントで導入した190名のうち現存する84名の再手術率が31/84 (37%) であるのと比べても成績は良い. 当院では, 急性腎不全および慢性腎不全の緊急導入例や皮静脈が細い場合には, まず外シャントを作成し, 静脈が十分拡張した後に内シャント化する手順を用いている. この方法は一時的ブラッドアクセスを設置する必要がないので, 患者の自由さと管理の容易さで優れている. また, 導入時に皮静脈が荒廃している場合や, 広範囲のシャント感染のためbypass作成が困難な場合, 内シャントの中枢側が総て閉塞している場合等, E-PTFEグラフト (Gore Tex®) が必要だが直ちに穿刺することができない場合でも, まずGore Tex®を用いた外シャント (以下G. Tex®外シャントと略す) を作成し, 穿刺可能となってから内シャント化する方法もよく用いており, 過去5年間に76例のG. Tex®外シャントを作成している. そしてG. Tex®外シャントは, 血液凝固能亢進や低血圧のためにG. Tex®内シャントが頻回にclottingする症例に対しても有用で, 外シャント化することによりdeclotting手術は不要となり, 結果的に手術件数を激減させることができる. 当院には, このような患者が6名いる. なお, G. Tex®に外シャントを接続する特殊コネクターを試作し使用中である. 外シャントで問題とされるシャント感染は当院では少なく, 外シャント感染による再手術は過去5年間で5例と問題とならない.
以上述べたごとく, 外シャントには, 内シャント全盛の今日においても, 見過ごすことのできない利点がある.
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