日本透析療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-6211
Print ISSN : 0911-5889
ISSN-L : 0911-5889
慢性血液透析患者の自律神経障害
心電図R-R間隔変動係数を用いた検討
大野 敦植木 彬夫伊藤 久雄横関 一雄鹿島 孝入江 康文
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 21 巻 6 号 p. 565-570

詳細
抄録
慢性血液透析患者の自律神経障害について, 心電図R-R間隔変動係数 (以下CV) を用いて検討を行った. 対象は, 維持透析者275名 (男159名・女116名・平均年齢46.8歳・平均透析期間61.5ヵ月) のうち, 不整脈を認めた12名を除く263名 (HD群) で, 原疾患の内訳は慢性糸球体腎炎204名, 糖尿病性腎症12名, 妊娠腎12名, 嚢胞腎7名, 腎盂炎7名, 腎硬化症6名, その他15名であった. CVは透析前に測定し, 年齢・透析期間・原疾患の影響を検討した. さらに対照として, 健常者78名 (Cont群)・糖尿病者160名 (DM群) のCVを測定し, 年齢別に比較を行った. また透析中の収縮期・拡張期血圧・脈拍数の最大値と最小値の差を変動値とし, 透析終了後の体重とdry weightの差が500g以内でしかも補液を用いなかった3日間の変動値の平均 (各S・D・P) をとり, CVとの関連を検討した. 透析者群のCVの平均は2.2±1.0%で, 加齢とともに低下傾向を認めた. Cont群, DM群においても加齢に伴いCVは低下したが, 同年代で比較するといずれの年代においてもCont群>DM群>HD群の関係が見られた. 透析期間別に見ると, 10年未満の群では加齢とともにCVは低下傾向を認めたが, その傾向は透析期間の短い群ほど顕著であった. しかし年代別では, 透析期間の長短とCVの間に一定の傾向は認めなかった. 原疾患別では, 慢性糸球体腎炎のCVが2.3±1.0%で263名の全平均とほぼ一致した. また糖尿病性腎症では1.2±0.6%, 腎硬化症では1.4±0.4%と全平均に比べ有意に低値を示したが, 両者の平均年齢は逆に高く年齢の影響が大きいと思われる. 一方嚢胞腎では平均年齢が高いにもかかわらず, CVが2.7±1.3%と高値傾向を認めた. 透析中の血圧変動とりわけ低血圧については, 自律神経機能障害の関与を指摘する報告があるが, 今回CVとS・D・Pとの間にはいずれも相関を認めなかった. むしろ補液の必要な日を対象にすれば, 相関の見られた可能性が考えられる.
著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top