日本透析療法学会雑誌
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坐骨結節部にアミロイド腫を認めた長期血液透析患者の一例
小西 憲子神田 千秋松原 為和藤田 琢史金城 明
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1989 年 22 巻 10 号 p. 1121-1124

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抄録
症例は, 54歳男. 昭和50年より血液透析をうけていた. 昭和61年7月, 胆石の手術をうけた際, 術後に両磐部痛を訴えた. 触診により, 径約2cmの硬結を両坐骨結節部の皮下に触れたが, 特に処置をせず放置していた. 昭和63年8月, 全身の疼痛のために動けなくなり入院した.
疼痛はプレドニンの内服により一週後には軽快したが, 両臀部の硬結に起因する疼痛を訴えた. 本人の希望により手術を行った.
左側の腫瘤切除を行ったところ, 腫瘤は坐骨結節部の筋膜に連続しており, 組織学的にアミロイド腫と判明した.
この症例は, 透析アミロイド症として頻度の高い手根管症候群は呈していなかったが, 透析歴が13年に及んでおり, 全身の疼痛も関節膜へのアミロイド沈着によりひきおこされたものと考えられる.
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© 社団法人 日本透析医学会
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