日本透析療法学会雑誌
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血小板感受性試験を用いた安定期透析患者の血小板機能の評価
中村 義弘松井 則明中川 成之輔
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1989 年 22 巻 12 号 p. 1341-1346

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抄録

安定期透析患者の血小板機能を凝集感受性を用いて定量的に測定し, 血清脂質との相関を検討した。安定期透析患者42例 (男17例, 女25例), 正常対照群31例を対象とし, 凝集感受性を佐野らの方法により, ADPによる凝集最低濃度 (2-nmg/ml) のnで表した。凝集感受性の成績は, 正常群の男性7.94±1.34 (m±SD), 女性8.71±0.91に対し, 透析群はそれぞれ10.51±1.86, 10.89±1.88で男女とも正常対照群に比し有意の感受性亢進を示した (p<0.001). この成績に男女差はなく, 年齢, 透析歴のいずれとも相関はなかった。血清脂質では透析群ではHDL-Cholが有意に (p<0.01) 低くT-Chol-HDL-Cholが有意に (p<0.05) 高かった。透析群の凝集感受性と脂質との相関は, 感受性とT-ohol (r=0.65, p<0.01), T-Chol-HDL-Chol (r=0.68, p<0.01) およびLDL-Chol (r=0.70, p<0.001) との間に有意の正相関が認められた。
以上より安定期透析患者の血小板凝集感受性を修飾する因子の一つとして血清脂質が重要であると考えた。

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