抄録
安定型狭心症を合併する61歳, 女性の透析患者に, 冠血管拡張剤を投与し経過観察していたが, 発作頻度が増加し不安定化してきたため心臓カテーテル検査を施行した. その結果, 左主幹部 (LMT) に90%の狭窄を認めたため, 経皮経管的冠動脈形成術 (PTCA) は適応外と判断し, A-Cバイパス術の適応とした. しかし, 手術予定日の7日前の透析中に強度の前胸部不快感が出現し, 冠血管拡張剤の投与を行ったが, 狭心症発作は改善せずショック状態となった. 昇圧剤にて血圧は回復したが, 発作の持続時間が長く, 不安定型狭心症から切迫梗塞への移行が考えられたため, 緊急A-Cバイパス術を施行した. 術後, 狭心症発作は消失した. 透析患者の緊急手術は, リスクが高いといわれているが, 十分な維持透析を行い, 術後の適切な管理により施行し得るものと思われた.