血液透析療法 (HD) の導入過程で, 患者がHDをどのように受容し自立していくかを知り, その過程においての援助方法を検討した. 有職可能な年齢 (18-65歳) の腎不全患者81名で, HD前 (A群16名), HD導入後1年以内 (B群25名), HD導入後1年以上 (C群40名) を対象として, 東邦大学第2内科考案のself-rating questionaire for depression (SRQ-D) と, Schipperらが提唱した, 進行癌患者のquality of lifeを透析患者用に作り直した質問表を用いて, アンケート調査を実施した.
その結果, 身体症状別にみると大きな差は認められなかった. 不安を示す患者は各群とも90%と多かった. また, 以前の仕事を継続できている患者はA群で70%で, そのうち約半数は配置転換されていた. B群, C群は継続出来ている患者はおのおの, 50%, 30%であり, 各群とも少数しか, 再就職できなかった. 線状アナログスケールの平均値は, A群53.4, B群61.2, C群59.5であった. うつ傾向は, A群62%, B群20%, C群45%であった.
このことから, 多くの医療従事者と連絡をとって, 患者の死に対する悩みを取り除くことと, 社会復帰のための情報を患者に提供することが重要と考えた.
抄録全体を表示