日本透析療法学会雑誌
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23 巻, 2 号
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  • 越川 昭三, 平澤 由平
    1990 年 23 巻 2 号 p. 107-127
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 岩崎 洋治, 三村 信英
    1990 年 23 巻 2 号 p. 128-145
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 大野 敦, 横関 一雄, 鹿島 孝, 入江 康文, 植木 彬夫, 伊藤 久雄
    1990 年 23 巻 2 号 p. 147-151
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性血液透析患者250名に, 2回以上上部消化管レントゲン検査を施行し, その所見と臨床データとの関連をretrospectiveに検討した. 患者をレントゲン所見により, 正常群, 慢性胃炎群, 胃・十二指腸潰瘍群, その他に分け, 各群の年齢, 男女比, 透析期間, 生化学データ, 透析中の血圧変動, 心電図R-R間隔変動係数 (CV) および自律神経の自覚症状を, 正常群と他の3群との間で比較した.
    潰瘍群では正常群に比し, 年齢と男性の割合が高かったが, 透析期間には有意差を認めなかった. 生化学データでは, 透析前の値はいずれも有意差が見られなかったが, 透析前後の差で見ると正常群に比べ潰瘍群で無機リンの改善が少なかった. 一方潰瘍群では, 収縮期血圧の透析による変動率が正常群に比し有意に大きかったが, CVはやや低め, 自律神経の自覚症状はやや強めの傾向にとどまった.
    今回の結果より, 消化性潰瘍の一因として, 血圧低下に基づく粘膜血流の減少による防御因子の低下が考えられる. 一方, 自律神経障害や無機リンの影響については, 今後さらに検討が必要と思われる.
  • 窪田 実, 浜田 千江子, 前田 国見, 小出 輝
    1990 年 23 巻 2 号 p. 153-155
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    BresciaとCiminoによって報告された内シャントより末梢に作成されるタバチエール内シャントを慢性腎不全患者43名に44回作成し最長16か月にわたり観察し評価した. その結果, 手術直後に閉塞を認めた症例は3例, 1週間以内に閉塞を認めた症例は2例であった. これら5例はBrescia-Ciminoのシャントをその後作成したが全例で閉塞を認めた. シャント使用中1か月以上で閉塞した症例は4例であった. 閉塞症例の原疾患は糖尿病性腎症が多く, 明らかに高齢者に多く認められ, 動脈硬化の程度に起因していると考えられた. 他の症例ではシャントは良好に機能しており, 高血流量 (300ml/min) を必要とする短時間透析も問題なく施行している.
    以上の結果からタバチエール内シャントは第一選択のシャントとして十分に普及しえる内シャントと考えられた.
  • 服部 久美子, 松野 幸子, 加藤 美代子, 友松 諄子, 両角 國男
    1990 年 23 巻 2 号 p. 157-162
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析療法 (HD) の導入過程で, 患者がHDをどのように受容し自立していくかを知り, その過程においての援助方法を検討した. 有職可能な年齢 (18-65歳) の腎不全患者81名で, HD前 (A群16名), HD導入後1年以内 (B群25名), HD導入後1年以上 (C群40名) を対象として, 東邦大学第2内科考案のself-rating questionaire for depression (SRQ-D) と, Schipperらが提唱した, 進行癌患者のquality of lifeを透析患者用に作り直した質問表を用いて, アンケート調査を実施した.
    その結果, 身体症状別にみると大きな差は認められなかった. 不安を示す患者は各群とも90%と多かった. また, 以前の仕事を継続できている患者はA群で70%で, そのうち約半数は配置転換されていた. B群, C群は継続出来ている患者はおのおの, 50%, 30%であり, 各群とも少数しか, 再就職できなかった. 線状アナログスケールの平均値は, A群53.4, B群61.2, C群59.5であった. うつ傾向は, A群62%, B群20%, C群45%であった.
    このことから, 多くの医療従事者と連絡をとって, 患者の死に対する悩みを取り除くことと, 社会復帰のための情報を患者に提供することが重要と考えた.
  • 大園 史郎, 保元 裕一郎, 外山 幹樹, 潤田 裕二, 山下 亙, 大崎 和弥, 中島 晢, 原田 隆二, 橋本 修治
    1990 年 23 巻 2 号 p. 163-166
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血友病に, 急性腎不全を合併した稀な症例を経験した. 症例は, 23歳男性, 2歳の頃より血友病Aの診断をうけていた. 昭和63年1月23日肉眼的血尿及び腰痛が出現し近医受診, 無尿となったため3日後, 急性腎不全の診断のもとに当院に紹介入院となった. 腹部CTにて両側腎盂尿管内の血液凝固塊と両側腎の腫大を認め, BUN 38.1mg/dl, Cr 7.6mg/dl, UA 10.6mg/dlと上昇し腎内及び尿管出血に伴う凝血塊による尿管閉塞を原因とした急性腎不全と診断した. 第VIII凝固因子製剤の静注により凝固系のコントロールを行ないFOY及びEVAL膜の使用で凝固因子の消耗を抑え, 計4回の血液透析を施行, 入院第25病日目に24hrCCr 104l/dayと腎機能の改善を認め, 入院第33病日目に退院となった
  • 内藤 説也, 小河原 悟, 朔 啓二郎, 荒川 規矩男
    1990 年 23 巻 2 号 p. 167-172
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    悪性新生物の合併が確認された慢性維持血液透析中および透析には至っていない末期慢性腎不全患者22名のHLA抗原を検索したところ472人の正常対象群に比して統計的に有意に高率にHLA-DRw13抗原をもつことが示された (50% vs 6.1%, Pc<0.0006). このことは悪性新生物の種類や末期慢性腎不全の原疾患には関係しないようであった. 腎不全の状態ではHLA-DRw13抗原保有者は悪性新生物抗原に対する免疫応答性の低下が著しいことが推論された.
  • 吉田 克法, 石田 悦弘, 平尾 健谷, 貴宝院 邦彦, 本宮 善恢
    1990 年 23 巻 2 号 p. 173-176
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    ECUM法にて採取した濾液を用いてクレアチニン (Cr), 尿酸を始め尿毒症物質であるグアニジン (G), メチルグアニジン (MG), グアニジノコハク酸 (GSA) などのグアニジノ化合物を測定し, 血漿実測値と濾液実測値およびクレアチニン補正により求めた推定値を比較検討した. その結果, 血漿実測値と濾液実測値での各相関係数は, Gでr=0.753, MGでr=0.644, GSAでr=0.586, GAAでr=0.621といずれも高い相関を認め, さらにクレアチニン補正により求めた推測値ではより高い相関を認めた. このことによりグアニジノ化合物の測定に濾液資料を臨床検体として採用し得ることが示唆された.
  • 川西 秀樹, 繁田 直史, 新宅 究典, 山野上 敬夫, 山根 修治, 望月 高明, 土谷 太郎
    1990 年 23 巻 2 号 p. 177-181
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者緊急手術に対する対策を考察するため, 最近の開腹術症例20例 (待期手術12例, 緊急手術8例) を選択してスワンガンツ・カテーテルを用いた循環動態の変化を中心に検討した. 待期手術の場合, 術前の除水によって心係数 (Cl) は正常下限まで低下したが, その後は改善, 肺動脈拡張期圧 (PADP) の変化はまったくみられず安定した心機能状態を保っていた. 一方, 緊急手術では, 術前の不十分な除水と重篤な病因のため術前PADPが上昇しており, 手術による病因の除去により術後は正常に回復したが, 術後Cl, PADPとも徐々に上昇し心負荷の増加傾向を示した。 術中の輸液バランスは待期手術では3ml/kg/hrであるのに対し, 緊急手術では4.6ml/kg/hrと多くなっていた. 術後透析は緊急手術で14.6±3.2時間と待期手術29.3±12.6時間に比して有意に早期に施行された. 以上より緊急手術の場合, 次のような点に留意すべきであると考えられた.
    1. 可能な限り術前緊急透析を行う, 2. 循環動態のモニターとそれに基づく輸液量の設定, 3. 手術によるできるだけ早急な病因の除去, 4. 術後早期の透析, 以上を考慮しながら, 透析患者緊急手術に対処していかなければならない.
  • 八木沢 希樹, 梶原 信之, 金 忠利, 宮前 雅見, 中島 久宜, 松田 光雄, 藤原 康典
    1990 年 23 巻 2 号 p. 183-187
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    安定型狭心症を合併する61歳, 女性の透析患者に, 冠血管拡張剤を投与し経過観察していたが, 発作頻度が増加し不安定化してきたため心臓カテーテル検査を施行した. その結果, 左主幹部 (LMT) に90%の狭窄を認めたため, 経皮経管的冠動脈形成術 (PTCA) は適応外と判断し, A-Cバイパス術の適応とした. しかし, 手術予定日の7日前の透析中に強度の前胸部不快感が出現し, 冠血管拡張剤の投与を行ったが, 狭心症発作は改善せずショック状態となった. 昇圧剤にて血圧は回復したが, 発作の持続時間が長く, 不安定型狭心症から切迫梗塞への移行が考えられたため, 緊急A-Cバイパス術を施行した. 術後, 狭心症発作は消失した. 透析患者の緊急手術は, リスクが高いといわれているが, 十分な維持透析を行い, 術後の適切な管理により施行し得るものと思われた.
  • 小野 慶治, 柏木 征三郎
    1990 年 23 巻 2 号 p. 189-193
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    免疫不全状態にある透析患者のB型肝炎ワクチンに対する不良な抗体産生が従来からの筋注法を皮内接種に変える事によって改善されるのか検討した。
    HBs抗原・抗体陰性の透析患者35名を三群に分け, 第I群 (14名) には組換えワクチン5μgを隔週に皮内接種し, 第II群 (13名) はワクチン2.5μgを隔週に5回, 続いて毎週皮内に接種した. 第III群の残り8例は10μgを4週毎に三角筋に5回注射し, 続いて5μgを隔週に皮内注射した. これらのワクチンは抗体陽転化まで与えた.
    第III群での筋肉注射後の抗体産生はきわめて悪く, 16週目でわずか37.5%の抗体陽性率しか得られなかった. しかし, 皮内接種へ変更後抗体陽転率は著しく高くなった. 一方ワクチン5μgが皮内接種された第I群の成績は良く, 更に第II群でも2.5μgの投与間隔を半分に短縮することにより良好な抗体産生が得られた. つまり. 少量のワクチンを皮内に接種する事により対象の透析患者全例で26週 (6か月) 以内に抗体陽転が認められた. これは透析患者に対するB型肝炎ワクチン接種後100%の抗体産生を得た世界最初の報告である.
    しかし, 最高抗体値は全般に低く予防効果を示す10mIU/mlよりは高いものの, ワクチン接種中止後抗体価の低下してくる例もあり, 今後, 経時的に抗体価を測定しワクチンを再接種する配慮も必要である.
  • 井上 聖士, 吾妻 真幸, 平林 俊明, 稲垣 王子, 森 頴太郎, 藤田 嘉一, 後藤 武男, 三木 章三, 堀口 幸夫, 井原 元
    1990 年 23 巻 2 号 p. 195-198
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期透析患者で副甲状腺摘除を受けた50例の副甲状腺について検索し, 50例中47例において副甲状腺組織にアミロイド沈着を認めた. この47例中9例は手根管症候群の手術を受けており手根部横靱帯にアミロイド沈着が認められた. 副甲状腺の組織学的検索では, 被膜および結節間の隔壁, 小血管壁にアミロイド沈着が認められた.
    最近このアミロイドーシスの主要構成蛋白がβ2-microglobulin (β2-MG) であることが確認されている. 本研究でもこのアミロイドは過マンガン酸カリウム処置に抵抗性であり (非AA蛋白), 免疫組織化学的検査 (peroxidase-antiperoxidase法, immunofluorescence法) で抗ヒトβ2-MG抗体と反応した. これらの成績は透析アミロイドーシスは全身的に生じ得るし, 種々の臓器にアミロイド沈着が生じている可能性を示唆している.
  • 心機能との関連
    岡本 清也, 木倉 敏彦, 根井 仁一, 寺中 正昭
    1990 年 23 巻 2 号 p. 199-205
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    当院外来透析療法施行中の慢性腎不全患者12名を対象にパルスドップラー法を用いてシャント流量を測定し, Mモード心エコー, 心プールスキャンによる心拍出量と比較したシャント率を算出した. さらにパルスドップラー法によるシャント機能の評価の問題点を考察した. 各部位における局所血流量は, 各時相における平均流速 (最大流速の1/2) の時間積分値と, sample volumeを置いた部位の血管断面積の積により算出した. シャント流量は, シャント側の上腕動脈の血流量より対側の上腕動脈の血流量を差し引くことにより算出した. この方法により測定したシャント流量は平均521ml/min (最大1,096ml/min, 最小150ml/min), シャント率はMモードエコー法では平均11.3% (最大25.1%, 最小2.6%) で, 心プールスキャンでは平均11.9% (最大27.1%, 最小2.5%) であった. 今回検討した症例では, シャント流量は200ml/min以上あれば透析時に十分な血流を得ることができ, シャント機能良好と考えられた. また, 同時に行ったカラードップラー法では吻合部直後の静脈はモザイクを呈し, 乱流形成を示していた. ドップラー法による透析患者ブラッドアクセスの血流量測定は簡便であるが, プローブの角度誤差や圧迫の問題があり, また乱流を呈した場合, 血流量の正確な評価は困難となるなどの点に注意が必要である. すなわち, ドップラー法によるシャント流量は吻合部の表在静脈の測定よりも, 両側上腕動脈の血流量の差により算出したほうがより正確と考えられる.
  • 阿萬 忠之, 鹿野 昭彦, 橋本 芳子, 藤原 てるみ, 首藤 睦, 千葉 明恵, 冨田 武, 須田 博文
    1990 年 23 巻 2 号 p. 207-212
    発行日: 1990/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析導入後7年8か月を経過して安定期にある患者に, 両側性に多量の血性胸水の貯留を認めたが, その臨床症状, 胸水所見および経過から尿毒症性胸膜炎と考えられたので報告する.
    症例は50歳の男性. 慢性糸球体腎炎の増悪により, 昭和54年4月血液透析が開始され, 以後順調に経過していた. 昭和61年12月定期の胸部X線検査で, 無自覚の両側性胸水を指摘されたが放置していたところ, 次第に発熱, 咳漱, 胸痛並びに呼吸困難等の症状が出現し増強した. またCRP 3+, 白血球数増多等を示したが, 「ツ」反応は陰性であった.
    初回の試験穿刺液は滲出性で血性を呈し, ヘマトクリットは2%で, 蛋白量5.6g/dl, LDH 847U, 糖88mg/dlといずれも高値を示した. 一般細菌並びに結核菌培養はともに陰性で, 細胞診はClass Iであった.
    胸水は溢水時の漏出性胸水と異なり, 水分管理や除水治療の強化にも反応せず難治性であった.
    経過は遷延し, 胸水の穿刺排液は左右で計15回に及び, 治癒までに5か月間を要した.
    なお本例はあとに軽度の拘束性肺機能障害を遺した.
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