日本透析療法学会雑誌
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原因不明の肺出血に慢性腎炎の急性増悪によると思われる腎不全を合併した1例
丸山 圭史馬渕 非砂夫青木 正垣内 孟中橋 弥光
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1990 年 23 巻 6 号 p. 573-579

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抄録

症例は65歳女. 血痰と呼吸困難を主訴に入院. 著明な貧血と肺出血および腎機能の低下を認めた. Methylpredonisoloneの投与を開始したが効果がなく, 急速に肺出血の増強による呼吸不全をきたしたため第3病日に血漿交換を施行したところ, 24時間以内に胸部異常陰影の減少と自覚症状および低酸素血症の改善をみた. その後本例は第8病日に敗血症とDICを合併し死亡した. 死亡後の組織所見では, 腎に糸球体の一部半月体形成, 多くの硝子化および破壊と, 近位および遠位尿細管の変性を認め, 肺に著明な肺胞内外の出血を認めた. また蛍光抗体法では腎にIgGおよびC3の顆粒状沈着を認めたが肺には有意な所見はなかった. なお血中抗糸球体基底膜抗体は陰性であった. 本例は原因不明の肺出血に慢性腎炎の急性増悪によると思われる腎不全を合併した症例と診断した. しかし肺出血と腎炎の関係は不明であった.

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