日本透析療法学会雑誌
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23 巻, 6 号
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  • 河野 嘉文, 高上 洋一, 阿部 孝典, 渡辺 力, 二宮 恒夫, 黒田 泰弘, 水口 潤, 川島 周
    1990 年23 巻6 号 p. 567-571
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者の末梢血単核球の造血因子 (BPA, GM-CSA) 分泌能を検討した. 末梢血単核球をPHAで刺激して得られた培養上清 (CM) を用いた分析で, 透析患者では健常人に比較してBPAの低下とGM-CSAの亢進が認められた. このCMは, 赤芽球系前駆細胞 (BFU-E) によるコロニー形成に対し, 濃度依存性の抑制作用を示し, 顆粒球・単球系前駆細胞 (CFU-GM) によるコロニー形成には抑制作用を示さなかった. このことより透析患者では赤芽球系細胞に対する選択的抑制物質が分泌されている可能性が示唆された.
    透析導入前後の変化を見ると, 透析導入とともにGM-CSAの分泌が亢進したが, BPAの分泌は変化しないか低下傾向にあった. 同時に末梢血中のCFU-GM数は増加し, BFU-E数が減少し, 造血因子分泌能の変化と相関していた. 一方, 腎移植により透析を離脱した患者では移植後BPA分泌能が改善し, それとともに末梢血中BFU-E数の増加と貧血の改善が認められた.
    以上の結果より, 腎性貧血の一因として造血因子 (BPA) の活性低下が考えられ, それは赤芽球系にのみ作用する抑制因子の存在が関与していると思われた.
  • 丸山 圭史, 馬渕 非砂夫, 青木 正, 垣内 孟, 中橋 弥光
    1990 年23 巻6 号 p. 573-579
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は65歳女. 血痰と呼吸困難を主訴に入院. 著明な貧血と肺出血および腎機能の低下を認めた. Methylpredonisoloneの投与を開始したが効果がなく, 急速に肺出血の増強による呼吸不全をきたしたため第3病日に血漿交換を施行したところ, 24時間以内に胸部異常陰影の減少と自覚症状および低酸素血症の改善をみた. その後本例は第8病日に敗血症とDICを合併し死亡した. 死亡後の組織所見では, 腎に糸球体の一部半月体形成, 多くの硝子化および破壊と, 近位および遠位尿細管の変性を認め, 肺に著明な肺胞内外の出血を認めた. また蛍光抗体法では腎にIgGおよびC3の顆粒状沈着を認めたが肺には有意な所見はなかった. なお血中抗糸球体基底膜抗体は陰性であった. 本例は原因不明の肺出血に慢性腎炎の急性増悪によると思われる腎不全を合併した症例と診断した. しかし肺出血と腎炎の関係は不明であった.
  • 松峯 ひろみ, 鎌田 真人, 田中 久夫, 辻野 正隆, 高橋 計行, 板垣 信生, 山本 義久, 長谷川 廣文, 今田 聰雄, 堀内 篤
    1990 年23 巻6 号 p. 581-587
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性透析患者の貧血の主因はエリスロポエチン (EPO) 産生の減少であるが, その他の様々な因子とも関連があるといわれている. 我々はリコンビナント-エリスロポエチン (rEPO) を慢性透析患者に投与し, その効果と, 効果に影響をおよぼす因子, 並びに骨髄所見について検討した. 対象は慢性透析症例12例 (男性6例, 女性6例) である. rEPO投与により貧血の改善はみたが, ヘマトクリット (Ht) 値の増加が良好な症例と不良な症例が認められた. 前者では投与前のフェリチン値が有意に高く投与前6か月間の輸血量が多い傾向がみられた. しかし, 年齢, 性別, 透析年数, rEPO投与量, 投与前Ht値, 血清鉄, クレアチニン, 尿素窒素 (BUN), 副甲状腺ホルモン (C-PTH), および血清EPO値には両者間に有意差はなかった. 投与前後で骨髄穿刺吸引法による骨髄組織の採取を施行しえた3例の所見を比較するとM/E比は2例で低下, 1例で増加し, 一定の傾向は認められなかった. 赤芽球分類の比率, 鉄芽球比率や鉄芽球内の鉄顆粒の状態にも投与前後で有意の変化は認められなかった.
    以上から, 透析患者の貧血にrEPOは有効であったが, Ht値の増加には一定性がなく, 効果に影響をおよぼす因子の存在が考えられた. 貧血の改善が良好な症例ではrEPO投与開始前のフェリチン値が有意に高かったことから, 赤血球造血には豊富な骨髄貯蔵鉄が良好な影響を与えると考えられた. またrEPOの効果を骨髄所見で判定するのは困難でありその効果を評価するには, 赤芽球系前駆細胞におけるrEPO反応性の検討も必要だと思われた.
  • 久保 義広, 鈴木 正司, 国井 良彦, 甲田 豊, 湯浅 保子, 酒井 信治, 高橋 幸雄, 平沢 由平
    1990 年23 巻6 号 p. 589-593
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性透析患者の腸管での亜鉛の吸収能を検討するために, 14人の慢性透析患者と, 9人の健康人で, 亜鉛経口負荷試験を行った. 血漿亜鉛値は, 負荷前の基礎値では, 健康人が83.7±12.0μg/dl, 透析患者が67.5±16.8μg/dlと, 透析患者で有意に低下していた (p<0.05). 亜鉛負荷試験では, 慢性透析患者は, 健康人に比べて, 血漿中亜鉛濃度が, 負荷後1時間から3時間まで, 有意に低値を示していた (p<0.01). 負荷後の血漿亜鉛値の基礎値からの上昇値でも, 同様に, 透析患者では健康人に比べて, 負荷後1時間から3時間で有意に低値を示した (負荷後1時間p<0.05, 負荷後2時間p<0.01, 負荷後3時間p<0.02). また, 負荷後の血漿亜鉛値の上昇値のAUC4 (負荷後4時間までの血漿中濃度曲線下面積) は, 健康人で435.7±103.0μg・hr/dl, 透析患者で279.1±122.4μg・hr/dlと, 透析患者で有意に低下していた (p<0.01). また, 慢性透析患者でも, 活性型ビタミンD製剤 (ビタミンD) 投与群では, 健康人に比べて, 血漿中亜鉛濃度は, 亜鉛負荷前後で有意差を認めなかった. また, ビタミンD投与群では, ビタミンD非投与群に比べて, 負荷後の血漿亜鉛値の上昇値のAUC4が有意に高値であった. 以上より, 透析患者では腸管における亜鉛の吸収能が低下していると考えられ, このことが, 透析患者で血漿中亜鉛濃度が低い一因となっていると思われる. また, ビタミンDの投与が, 透析患者における亜鉛の腸管での吸収能に, 促進的に作用している可能性が示唆された.
  • 実験的研究
    小野 慶治, 王 幸則
    1990 年23 巻6 号 p. 595-601
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期透析患者に多発する後天性腎嚢胞の発生メカニズムは解明されていないが, 臨床上の観察から蓚酸カルシウム (OxCa) の尿細管内沈着によって尿細管内圧を上昇させ嚢胞が形成されるのではないかと疑い, 5/6腎摘および正常ラットで実験的に検討した.
    まず, 蓚酸 (Ox) の前駆物質であるビタミンC (VC) を大量に与えた5/6腎摘ラットでは投与開始11か月後にしかOxCaの尿細管内沈着は認められず, すでにこの時点では5/6腎摘による急激な腎実質の減少に起因するrenotropic growth factorの放出によって, VC投与の有無にかかわりなく尿細管の拡張が認められOxCaの沈着と後天性腎嚢胞形成との関連性は証明出来なかった.
    そこで, 5/6腎摘ラットに直接蓚酸ナトリウム (OxNa) を与えると, 非投与の5/6腎摘ラットよりも早期にしかも強い尿細管の拡張がみられた.
    さらに正常ラットにOxNaを投与すると7日目にはOxCaが尿細管内に沈着し, 腎機能低下はないのに尿細管の拡張が起こり, これらの変化は経時的に強くなっていった.
    以上の結果から, 末期腎不全患者に好発する後天性腎嚢胞の発生メカニズムの一つとしてOxCaの尿細管内沈着が関与していることが実験的に証明されたと考えられる.
  • 井上 聖士, 吾妻 真幸, 平林 俊明, 稲垣 王子, 森 頴太郎, 藤田 嘉一, 後藤 武男, 三木 章三
    1990 年23 巻6 号 p. 603-607
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    糖尿病性腎不全で4回の血液透析後に消化管出血で死亡, 剖検により膵ラ氏島にβ2-MG由来のアミロイド沈着を認めた症例を報告する. 68歳, 女性, 約10年前初めて糖尿病と診断され食事療法を行っていた. 約2年前よりインスリン療法開始, 蛋白尿出現. 4か月前より高窒素血症, 浮腫のため入院, 保存的治療を行っていたが高窒素血症増悪のため血液透析を開始, 計4回の透析を行うも消化管出血で死亡. 剖検膵のラ氏島にアミロイド沈着がみられ, PAP法による免疫組織化学検査でアミロイド蛋白はβ2-MGを含むことが証明出来た. 他の全身臓器にはアミロイド沈着はみられなかった. 長期透析症例の全身臓器のアミロイド沈着の報告はあるが, 短期の糖尿病性腎不全の膵ラ氏島にβ2-MG由来のアミロイド沈着がみられたのは稀で珍しく貴重な症例と考えられた.
  • 脇田 邦彦, 鷹橋 浩, 見田 登, 宮崎 滋
    1990 年23 巻6 号 p. 609-615
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    β2-microglobulin (β2-MG) 除去において拡散による寄与が大きいと考えられる酢酸セルロース膜 (cellulose triacetate (CTA膜) 1.1m2) を用いてisovolemic条件下で4時間の血液透析 (HD) を施行し, 拡散単独によるβ2-MGの除去能と各マーカー物質のsieving coefficient (SC) の測定, 生体の炎症反応のparameterであるacute phase reactant (APR) の動向, および生体適合性について検討した.
    その結果β2-MGの減少率は平均で39.7%であり, 各マーカー物質のSCはβ2-MG 0.607, myoglobin 0.476, α1-antitrypsin 0.005, albumin 0.003であった. また, CTA膜と血液が接触することによる生体の反応を調べるために, CRPをはじめ, 各APRの変動を測定したが, 透析開始から48時間までの各時間相において有意な変動は認められず, また各生体適合性parameterに関しても安定した結果が得られた. さらに至適血液浄化法を選択する目的で, 3.0kgおよび8.0kgのconvectionを加えたHDを行い比較検討した結果, β2-MG減少率において, 両者間に有意差を認めず, convection 3.0kg-HDで平均57.5%の減少率を認めた. したがって通常の体重増加を示す症例のHDによる治療効果が期待され, 吸着, 濾過と並びβ2-MG除去の有用な-方法であると考えられた.
  • 保元 徳宏, 有馬 省哉, 北本 康則, 片山 則孝, 中山 真人, 梅田 照久, 佐藤 辰男
    1990 年23 巻6 号 p. 617-621
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス (SLE) は, 20歳代をピークとし, 女性に多くみられる疾患である. 今回我々は, ネフローゼ症候群から比較的急速な経過をたどり腎不全となり, 薬物療法と, DFPPにより透析を離脱させ得た高齢者SLEの1症例を経験した. 高齢発症SLEは若年発症SLEと比べ特殊な病型を呈し早期診断が困難な例が多い. 本症例では, 関節炎, 漿膜炎に加え, 激しい腎障害を呈し高齢者SLEには珍しいことと考えられた. また血清学的検査では, 補体の著しい低下は認めなかったが, 血中免疫複合体値と腎障害度が相関すると考えられた. DFPPは免疫複合体量の多いSLE患者ならびに, 免疫抑制剤の副作用の出易い高齢患者では, 試みるべき治療法の一つとして考慮すべきと考える.
  • 添田 耕司, 小高 通夫, 田畑 陽一郎, 磯野 可一, 嶋田 俊恒, 西島 浩, 豊泉 惣一郎
    1990 年23 巻6 号 p. 623-631
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1966年9月より1989年6月まで当施設で慢性維持透析患者の併存病変に対して施行した緊急手術72例, 待期手術164例について比較検討した. 手術死亡率は, 緊急手術で22%, 待期手術で0.6%であり, 術後合併症も緊急手術で多かった. 最近, 糖尿病性腎症例の緊急手術例を3例経験したが, 全例に術前合併症を認め, 術後合併症も心不全や感染症を全例に認めた. 糖尿病性腎症緊急手術例では, 特に水分管理と院内感染予防が重要である. 低分子ヘパリンを用いた術後初回透析で凝固時間の延長と後出血を認めず十分に施行できた. 術後透析および術直前透析では, 低分子ヘパリンやnafamostat mesilateを用いた透析か, EVA膜少ヘパリン透析が有用である. 汎発性腹膜炎等では手術にて感染および壊死巣を除去し, その後透析を行い, 上部消化管穿孔等では, 前日透析してあれば即手術を, 前々日の透析であれば透析後に手術をするのがよいと考えている.
  • 若杉 和倫, 佐々木 正明, 鈴木 満, 東 仲宣, 延藤 卓生, 鈴木 秀子, 五十嵐 かおる, 山根 伸吾
    1990 年23 巻6 号 p. 633-637
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析導入前5症例, 導入後の患者45例と健常人45例の血清free light chain (FLc) を測定した結果, 1. 透析患者の血清FLc濃度は導入前患者よりも高く, 2. FLcの特にλ型がκ型よりも高かった. 3. これらの事実は種々の合併症, 例えばlight chain deposits diseaseや手根管症候群を主とするHD amyloidosisの原因として考えられ, それらの予防のために除去対象の1つとして十分と考えられた. 4. FLcの高濃度が要因である病態の他疾患の解明にも今後十分に役立ち得ると思われた.
  • 1990 年23 巻6 号 p. 639-641
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 642-644
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 645-647
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 648-650
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 651-653
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 654-656
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 657-659
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 660-662
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 663-665
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 666-668
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 669-671
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 672-674
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 675-677
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 678-680
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 681-683
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 684-686
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 687-689
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 690-692
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 693-695
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1990 年23 巻6 号 p. 696-698
    発行日: 1990/06/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
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