抄録
CAPD患者の腹膜炎発症因子に関し, 大阪府下16のCAPD施設 (CAPD症例総数166例) において, 61年度に導入された50例 (783患者・月) を対象に施設条件, 患者背景から調査を行った. 腹膜炎は21例 (29回), 27.0患者・月に1度の頻度であった. 原疾患では腹膜炎の発症に差はないが, 合併症を有する例で頻度が高い. これは導入に関し, 医学的理由より社会復帰や患者希望を優先する施設に腹膜炎が有意に少ないことと一致する. 患者背景においても社会復帰や本人希望例の腹膜炎発症が有意に低値であり, 有職者や主婦の発症率は無職者に比し有意に低値であった. また, 職場でCAPD専用室を有する患者に発症が有意に少ない.
CAPDの専門病棟や専任ナースの有無では発症率に差はなかった. また施設のCAPD経験年数と発症率にも差はなく, 経験症例の増加とともに適応基準が緩くなるものと推測される. 担当医やナースによる主観的判断による患者の性格や理解度と発症率にも差はなく, 安易な判断による適応の決定は避けるべきである. 入浴法ではカバーシャワー施行者で発症が最も少なく, 今後の指導法やCAPDシステムの改良に考慮を要する. 一方, 導入前, 退院前および現時点における免疫, 栄養状態の指標となる臨床検査成績と発症との間には関連を見出し得なかった.