日本透析療法学会雑誌
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小児保存期腎不全患者の腎性貧血に対するrEPOの臨床効果について
伊藤 克己小松 康宏
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キーワード: 腎性貧血, 保存期腎不全
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1991 年 24 巻 1 号 p. 31-36

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抄録

小児保存期腎不全患者の腎性貧血に対するrEPOの効果を検討するために, Hb, Htがそれぞれ8mg/dl以下, 24%以下の21例の患者にrEPOを投与した. 患者の血清クレアチニン値は4mg/dl-10mg/dl, クレアチニンクリアランスは25ml/min以下であった. 原疾患は腎低形成が6例, ネフローゼ症候群3例, その他12例. rEPOは最初の4週間は50U/kgを週1-2回静脈注射し, Hb1g/dl以上またはHt 3%以上の貧血の改善が得られた場合にはその量で維持し, 効果が十分でない場合には投与量を100U/kgに増量した. rEPO投与後, 81%の患者で貧血が改善した. 治療後に19例の内, 9例で腎機能が改善し, 9例で腎機能が悪化し, 1例では変化がなかった. 腎機能の変化と原疾患, 年齢などの他の因子との間に明らかな相関は認めなかった. 副作用は1例で血圧の上昇がみられたのみであった.

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