日本透析療法学会雑誌
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慢性腎不全患者における運動負荷心筋シンチグラフィーの有用性
佐藤 成明太田 真副島 道正田中 博杉本 健一高見沢 重隆田村 忠司宇都宮 正範小野 益照川口 良人酒井 紀森 豊川上 憲司
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1991 年 24 巻 11 号 p. 1453-1461

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抄録
慢性腎不全患者の虚血性心疾患を管理する上で, 運動負荷心筋シンチグラフィーの有用性を検討した. 対象は血液透析 (HD), CAPD治療群を含めた慢性腎不全患者26例および健常対照 (control) 群7例で, 運動負荷心筋シンチグラフィーは, 座位エルゴメーターによる多段階運動負荷試験にて行った.
運動持続時間はcontrol群に比してHD, CAPD群で有意に短く (p<0.001), 最高到達心拍数はHD群で小 (p<0.05) であった. HD, CAPD群は運動耐容能が低く, 心電図による虚血性心疾患の診断不能例が多かった. 慢性腎不全患者26例中, 左室肥大を15例 (57.7%), 虚血性心疾患を5例 (19.2%) に認め, 4例の心電図虚血性変化偽陽性例を検出した.
慢性腎不全患者におけるタリウムの心筋でのwashout rateは, control群に比して大で (p<0.001), Ht値と有意な負の相関 (r=-0.70, p<0.001) を認めた.
運動負荷心筋シンチグラフィーは虚血性心疾患に対する診断精度が高く, 非侵襲的に反復して行えるため, 慢性腎不全患者の虚血性心疾患を検出する上で有用であった.
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© 社団法人 日本透析医学会
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