日本透析療法学会雑誌
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慢性血液透析患者の骨塩量変動に関する検討
小田 弘明武政 敦夫小川 貴彦金原 幸司頼岡 徳在田中 純子重本 憲一郎有田 美智子碓井 公治原田 知浜口 直樹高杉 敬久
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1991 年 24 巻 4 号 p. 465-468

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抄録

慢性血液透析患者 (HD患者) の腎性骨異栄養症 (ROD) の進行について明らかにする目的にて, 骨塩量の変動に関与する諸因子を検討した. 対象はHD患者64例 (男性47例, 女性17例) で平均年齢は53.6±13.3歳, 平均透析期間は77.0±38.5か月である. 方法は24か月間の検討期間前後において, MD法で測定したΣGS/Dの変動を増加群, 不変および低下群の2群に区分し, 臨床的諸因子および治療との関連性について数量化理論第II類を用いて検討した. その結果, ΣGS/Dの増加に関連する項目の順位とカテゴリーは, オステオカルシン前値30.0ng/ml以下, P前値4.5-6.0mg/dl, リン吸着剤の検討期間前27か月間の投与量405.1g以上, Al前値10.1μg/l以上, C-PTH後値3.0ng/ml以下, Ca前値5.0mEq/l以下, C-PTH前値3.1ng/ml以上, ビタミンD3検討期間中24か月間の投与量180.1μg以上などであった. すなわち, ΣGS/Dの増加に関与すると考えられるのは1. 検討前のオステオカルシン値が30.0ng/ml以下, 2. リン吸着剤が十分投与されており, 検討前血清P値が4.5-6.0mg/dl程度にコントロールされていること, 3. 検討前のCa値が5.0mEq/l以下, C-PTHが3.1ng/ml以上であり, ビタミンD3が十分投与され, 治療後のC-PTHが3.0ng/ml以下に低下し得ることであった. 以上から, リン吸着剤, ビタミンD3 投与による適切な治療を行えば, RODの進行を防ぎ得ることが明らかとなった.

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