抄録
症例: 45歳, 男. 家族歴・既往歴: 特記すべきことなし. 現病歴: 慢性腎不全のため1982年8月血液透析 (HD) 導入. 1983年6月continuous ambulatory peritoneal dialysis (CAPD) へ移行. この時, 慢性骨髄性白血病 (CML) の合併を発見される. 1983年12月からbusulfanの投与を開始. CMLはほぼ無症状に経過し, CAPDも順調に継続できた. 1988年3月CAPD排液が血性となり入院. 6横指の脾腫がみられ, 末梢血に9.5%, 骨髄では32%の芽球の増加を認め, CMLのblastic crisisと診断された. 入院後6MP, 次いでVCRとPSLの併用による化学療法を行ったが, Candida tropicalisによる腹膜炎を併発し, 同年6月死亡した. 以上, 本例はCMLを合併しながら5年の長期生存を示し, CAPDの適応を考える上で極めて示唆に富む.