抄録
慢性腎不全 (CRF) 患者における末梢血単球interleukin-1β (IL-1β), tumor necrosis factor-α (TNF-α) の産生能について検討した. CRF保存期患者5例, 透析患者6例, 健常人3例を対象とした. ヘパリン加末梢血からFicoll-Conrayを用いた比重遠心法で末梢血単球を分離した. IL-1βについてはlipopolysaccharide (LPS) 20μg/ml, TNF-αについてはLPS 20μg/ml+4β-phorbol 12β-myristate 13α-acetate (PMA) 10μg/mlで刺激し, 16時間培養後各上清中のIL-1βをELISA法で, TNF-αをRIA法で測定した. CRF保存期患者の末梢血単球IL-1β, TNF-αの産生能は, 健常人と比べて低下していた. また透析患者ではCRF保存期患者よりIL-1β, TNF-α産生能がやや高い傾向にあった. これらのことよりCRF保存期患者の末梢血単球IL-1β, TNF-α産生能は透析療法導入後に改善傾向を示すと思われた.