日本透析療法学会雑誌
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Modified biofiltrationが貧血改善に有効であった透析患者の1例
倉持 元小樋山 勝志片桐 正則
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1991 年 24 巻 8 号 p. 1201-1204

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抄録
我々は以前に, 高張アルカリ補液を併用した高浸透圧血液透析濾過法 (modified biofiltration) を考案し, 通常透析より小, 中分子量物質除去に有効であることを報告した. 今回, recombinant human erythropoietin (rEPO) 治療に抵抗性を認めた貧血を合併した透析患者1例にmodified biofiltration法を施行した. 本症例は, rEPO 1,500 U×3/週の投与を11週間受けたにもかかわらず無反応であった (RBC 186×104/mm3, Ht 19.4%, Hb 6.1g/dl). このため通常透析よりmodified biofiltration法に変更した。同量のrEPO (1,500 U×3/週) 投与再開後2週にてRBC, Ht, Hbは増加しはじめ, 血清鉄, フェリチンは低下した. 17週でRBC, Ht, Hbはそれぞれ308×104/mm3, 30.0%, 9.5g/dlに達した. Modified biofiltrationは14週間施行した. 副作用としては, 多飲による透析前体重の増加や過度のアルカローシスの出現が考えられたが, 軽度の口渇が認められたのみであった. 本症例においては, rEPO投与に対するRBC生成は, rEPO投与量の不足というよりも主としてuremic toxinsによって抑制されていたと考えられた. この点においてmodified biofiltration法は, 貧血改善に有効であったと思われた.
よって今後, 透析療法におけるrEPO補充療法を補助する新しい透析技法を開発する必要があり, かつこのことはrEPO使用量の節約にもなると考えられた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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