日本透析療法学会雑誌
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血液透析患者の痔疾患手術例の検討
林田 紀和前田 涼子滝沢 義光宮本 治子
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キーワード: 便秘, 内痔核
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1992 年 25 巻 11 号 p. 1247-1250

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抄録
透析患者にとって, 便秘は隠された深刻な悩みの1つであり, 下剤を常用している患者は多い. 痔疾患は便秘が主因でくるために, 透析患者に多い合併症と思われるが, 今まで痔疾患についての報告は皆無であり, 当院での透析患者の痔疾患手術9例について検討した. 9例中男性5例, 女性4例であり, 内痔核8例, 痔瘻1例であった. 当院のこの2年間での健常者の痔疾患手術例は542例で, 63%は内痔核, 23%は痔瘻, 14%は裂肛であった. 従って透析患者では貧血や免疫能が低下しているに拘わらず, 予想に反して, 裂肛と痔瘻が少なくそめ考察を加えた. また手術例は透析導入後短期間であり, 痔疾の病悩期間はいずれも透析導入かなり以前より有し, 導入により増悪し易いが, 意外にも, 透析導入時に痔疾患がなければ, 便秘が頑固であっても, 痔疾患には罹患しづらいと思われる.
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© 社団法人 日本透析医学会
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