日本透析療法学会雑誌
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超音波検査によるCAPD患者の腸間膜像その形態と機能
中村 義雄保井 明泰
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1992 年 25 巻 8 号 p. 869-873

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抄録
CAPD療法に伴う腹膜の形態学的な変化を非観血的に把握するために, 超音波検査によって腸間膜の観察を行った. 対象はCAPD患者30名 (男性18名, 女性12名) であり, CAPD歴は1-86か月 (平均38か月) であった. 腸間膜は, 腸間膜起始部と小腸付着部の中点でその厚さを測定し, これに及ぼす因子について検討した. CAPD歴が5年以上の患者は, 5年未満の患者と比べて腸間膜は有意に肥厚していた. 1日平均使用透析液dextrose濃度が2.5%未満の患者と2.5%以上の患者で比べると2.5%以上使用者では有意に肥厚しており, 4.25%液使用老では高度に肥厚していた. 腸間膜厚と肥満度 (body mass index) との間には有意な相関関係を認めなかった (r=0.170, NS). 腸間膜厚と除水能 (1日除水量/1日平均使用透析液dextrose濃度) との間には有意な負の相関関係を認めた (r=-0.620, p<0.01). 超音波検査による腸間膜の観察は腹膜の病態把握に非侵襲的で簡便な方法であり, CAPD患者の管理において, 今後, 広く活用されるものと思われる.
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© 社団法人 日本透析医学会
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