日本透析療法学会雑誌
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透析導入期に診断のついた非ネフローゼ型続発性アミロイドーシスの1例
種々のアミロイド前駆蛋白の腎組織内検索
加藤 謙吉伊藤 喜久浅野 泰
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1992 年 25 巻 9 号 p. 1073-1078

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抄録
症例は, 55歳女性. 20年前発熱, 関節痛にて慢性関節リウマチと診断された. ここ2-3年の未治療期の後, 膝の痛みをきっかけに蛋白尿, 腎機能障害に気づいた. 腎機能障害は急速な進行を認め, 血清クレアチニン9mg/dlとなっていたものの開放下腎生検を行い, その後に血液透析へ導入となった. 腎生検の結果はコンゴーレッド陽性, 過マンガン酸カリ処理にて反応物質の陰性化を認め, AA型のアミロイドーシスが考えられた. さらに, 診断をより確実にするため血清アミロイドA蛋白 (SAA) の血中濃度を測定し (17μg/ml), さらにSAAのポリクローナル抗体を利用しPAP法を行い腎組織内 (糸球体, 血管壁を中心) にSAA陽性所見を得た. また, 同時にβ2-microglobulin, Light chain (κ, λ), P-component (以上PAP法), その他種々免疫グロブリン, 補体 (以上直接蛍光抗体法) 等の腎組織内局在を調べたがいずれも陰性であった. また, OKT4/OKT8比の上昇を認め細胞性免疫能の障害が今回のアミロイドーシス発症に関与していた可能性も考えられた. 今後本例に透析療法を行っていく上で生前確定診断が得られたことが出血等の合併症に対し適切な対応が可能になると思われた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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