日本透析療法学会雑誌
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重症レプトスピラ症の1例
馬場 泰忠浜田 富志夫青崎 真一郎山下 亙原田 隆二有馬 暉勝小田 紘
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1993 年 26 巻 1 号 p. 83-87

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抄録
Leptospira interrogans serovar hebdomadis感染例でWeil病重症型と同様に重篤な経過を辿ったが, 血液透析を行い救命し得た症例を経験したので報告する. 症例は69歳男性, 発症6日目紹介入院, 急性腎不全, 心不全, 心房細動, 鬱血肺, 黄疸, 消化管出血, 腸管麻痺, 高血糖, 精神障害, 全身痙攣, 無呼吸発作, 筋障害など多彩な臨床症状を呈した. 入院後streptomycinの投与, 水・電解質バランスの補正ならびに血液透析を行い軽快, 第55病日元気に退院した. Leptospira症の発症は, 近年, 公衆衛生の向上に伴って減少傾向にあり, 忘れられつつある疾患である. しかし, 重症例の死亡率は高く, 医療技術の進歩した今日でも早期診断, 治療開始の遅れによって重篤となる可能性の高い最も危険な感染症の一つである.
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© 社団法人 日本透析医学会
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