日本透析療法学会雑誌
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CAPD導入期に発症した好酸球性腹膜炎の5例
石木 良治永野 正史梅津 道夫山門 実多川 斉
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1993 年 26 巻 1 号 p. 89-92

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抄録
CAPDにおける腹膜炎の一部に, 無菌的に発症する好酸球性腹膜炎の存在が報告されている. 我々は, 三井記念病院でCAPDに導入した慢性腎不全患者60例のうち, 好酸球性腹膜炎と診断された5例を経験した. 全例が腹膜カテーテル挿入後3週間以内に排液の白濁にて発症し, 自覚症状はなく, 自然軽快を示した. 好酸球性腹膜炎の原因としてはCAPDのシステムに対するアレルギー反応が考えられているが, 今回経験した5症例のうち4例が導入直後に発症しており, うち2例は挿入時に使用した腹腔鏡の消毒薬がその原因と考えられることから, カテーテル挿入時の化学的, 機械的な刺激がその原因になり得るものと推論した. 本症は無治療にて自然軽快するため, 抗菌剤による治療は不要である.
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© 社団法人 日本透析医学会
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