日本透析療法学会雑誌
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腎瘻カテーテルの同時管理とともに長期維持を得た高齢者CAPDの1例
高野 真彦
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1993 年 26 巻 6 号 p. 1215-1218

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抄録
腎瘻カテーテルからの排尿を同時に管理しつつ, CAPDにより55か月間維持できた高齢者腎不全の1例を報告する. 症例は72歳男性, 約20年前に左尿管切石術を受けたが, 術後尿管狭窄のため以来腎瘻より排尿を行っていた. 右腎は既に無機能腎であった. CAPDを行う上では細心の注意と正確な手技が要求され, 腎瘻カテーテルとの同時管理は煩雑で, またこの腎は感染源でもあることを懸念して当初は血液透析が適応と思われたが, 家族的事情から, 食餌の管理が困難で, また住居が遠距離であるためCAPDを選択した. 高齢ではあったが充分理解力があり, 実際に行ってみるとCAPD, 腎瘻のいずれの管理も実に忠実に実行した. 本症例では, 少なくとも, 腎瘻の存在はCAPDの妨げにはならなかった. 高齢者は一般に特有の合併症のため, 長期にわたる維持透析は困難と言われる中で, CAPDによる長期維持を得た稀な症例と思われる.
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© 社団法人 日本透析医学会
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