1993 年 26 巻 6 号 p. 1225-1230
透析技術の進歩ならびにエリスロポイエチン (EPO) の使用により, 透析患者の妊娠・分娩の成功例が報告されている. 当院においても2例の妊娠・分娩を経験し, ドライウェイト (DW) 設定の指標としてα-hANPの測定を行い有用と考えられたので報告する. 症例1は30歳, 透析歴6年で妊娠 (ss) 10週に当科入院. ss 34週, 帝王切開にて1,613gの男児を分娩した. 症例2は31歳, 透析2年目に腎移植, 3年後に透析再導入となり1年6か月後にss 17週と診断. ss 34週, 帝王切開にて1,713gの男児を分娩した. 2症例とも妊娠前よりEPOを使用しており, 妊娠中はEPOにてHt 30%以上に維持でき, 更に, 体重管理の指標の一つとしてα-hANPの測定を行いより少ないriskで妊娠の継続, 分娩が可能であった.