日本透析療法学会雑誌
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血液透析療法および内シャント作製が脳血流量に与える影響についての検討
土谷 順彦高橋 徳男網野 洋一郎高 大輔染野 敬篠原 照彦川上 倖司
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1993 年 26 巻 7 号 p. 1261-1265

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抄録
透析療法に導入した慢性腎不全患者6例および透析導入前の慢性腎不全患者2例を対象とし, 133Xeガス吸入法を用いて局所脳血流量 (regional cerebral blood flow: rCBF) 測定を行った. 透析導入前の全脳の平均CBFは79.7±6.0ml/100g/minと著明に増加していた (p<0.001). 透析導入後十分な透析を行った群では63.0±8.7ml/100g/minと有意に低下し (p<0.05) ほぼ正常化したのに対し, 透析が不十分な症例では透析導入前後で変化しなかった. 十分な透析を行った群において, 透析導入前後の収縮期および拡張期血圧, PaCO2, CTRには有意差はなく, 全脳の平均脳血流量との間に相関を認めなかった. 一方Hbは透析導入前後で有意な増加を認め (p<0.05), 全脳の平均脳血流量との間に負の相関を認めた (p<0.05). 透析療法導入後に脳血流量が正常化することに対し, 貧血の改善が大きな役割を果たしていると考えられた. 内シャント作製前後では全脳, 右半球および左半球の平均脳血流量, 左右差指数はほとんど変化せず, 局所的な脳血流量の変化も認められなかった.
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© 社団法人 日本透析医学会
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