抄録
FUT (フサン) による抗凝固透析をうけた39例中5例に回路内凝血を経験した. そこで, 我々はFUTによる抗凝固透析で回路内凝血を生じた症例と生じなかった症例に臨床的な相違があるかを検討した.
透析膜に関してはPAN膜使用透析で回路内凝血が高頻度にみられた. 臨床検査成績では, FUT使用透析前2週間のHctの変化が回路内凝血を生じた症例で, 非凝血例に比し有意に多かった (p<0.05). 血小板数, 白血球数, 血清Ca濃度, 血液流量に相違はなかった.
これらの結果より, FUTによる抗凝固療法透析においては, 最近のHctの急激な上昇例でのFUT増量の必要性や, 適当な透析膜の選択が, 回路内凝血を防ぐために必要であると思われる.