日本透析療法学会雑誌
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透析患者における脳出血
自験例10例と文献例45例の検討
戸津崎 茂雄木村 繁男幸地 延夫飴谷 敏男
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1993 年 26 巻 8 号 p. 1398-1402

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抄録

維持透析患者における脳出血の発症頻度は非透析患者に比べ高値である.
今回我々は脳出血を併発した維持透析患者の自験例10例と文献で検索しえた45例とで, 脳出血の発症部位, 大きさ, 意識レベル, 予後などの臨床的検討を行った.
透析患者での脳出血の部位別頻度は, 基底核部への出血が71%, 皮質下への出血が18%, 小脳出血や脳幹部出血が11%であり, 非透析患者での部位別頻度と特に差異はみられなかった.
予後は不良で, 49例中31例 (63%) が死亡している. 予後と最も良く相関がみられたのは, 脳出血発症後の意識レベルで, 発症後速やかに昏睡になる例は全て致死的であった. 自験例10例でみると, 発症直後から昏睡となったものは6例あり, 血腫除去術により救命できた1例を除いて全て死亡している. またこれら6例の血腫の大きさは全て4cm以上であった.
一方, 意識レベルの低下が殆ど認められなかった4例では, 血腫の大きさは全て4cm以下で, 急性期の予後, 血腫の吸収ともに良好であった.
脳室穿破は49例中22例 (45%) と高率に認められたが, 予後との直接の関係はみられなかった.
血腫除去術で救命しえた患者は, のちに腎移植を受け, 現在は移植腎で生活中であり, 適応があれば透析患者といえども, 血腫除去術を考慮すべきと考えられた.

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© 社団法人 日本透析医学会
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