日本透析療法学会雑誌
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維持透析患者の術後合併症
柴原 伸久岡田 茂樹和辻 利和安田 英煥浜田 勝生岩動 孝一郎
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1993 年 26 巻 9 号 p. 1493-1496

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抄録

透析患者に対する手術療法の適応と安全性を調べるため, 術後合併症について検討した. 対象は当科および関連施設にて維持透析を受けている患者のうち, 1987年1月から1991年12月までの5年間にblood access以外の手術を受けた120例 (124件) であった. 全身麻酔, 硬膜外麻酔での手術76件のうち28件 (37%) に術後合併症を認めた. 患者の年齢, 性別, 透析歴および術直前の透析の時期と術後合併症の発生頻度とは関連性はなかったが, 創部感染を起こした症例の腎不全の原疾患はすべて糖尿病性腎症であった. 術後合併症に起因する死亡は1例のみであった. 局所浸潤麻酔や伝達麻酔で行えるような小手術については, 術後合併症もほとんどなく安全に施行できた. 全身麻酔および硬膜外麻酔での手術については, 腎不全の原疾患が糖尿病でない限り比較的安全に行えていたが, 糖尿病の場合は術後合併症の頻度が50%と高く, 特に創部感染を併発することが多いので細心の注意を払う必要があると思われた.

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