日本透析医学会雑誌
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慢性血液透析患者の手根管症候群と血清サイトカイン
高須 伸治高津 成子岡 良成国米 欣明
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1994 年 27 巻 2 号 p. 109-112

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抄録
長期透析に伴う合併症のうちで, 手指の痛み, しびれ, 運動制限などの症状を呈する手根管症候群の頻度は高い. その原因として, アミロイドとの関連が示唆されているが, 一方ではアミロイド沈着部位周囲へのマクロファージの浸潤や, 結合織の増生もみられており, その詳細についてはまだ不明な点が多い. 今回我々は, 慢性透析患者の血清サイトカインを測定し, 手根管症候群との関連について検討した. 特別な感染症, リウマチ, 肝疾患, 癌などを持たない慢性維持透析患者71名を対象とした. これを, 手根管症候群をもたないコントロール群 (n=40) と, 手根管症候群をもつCTS群 (n=31) の2群に分類した. 生化学的検査として, 血清β2マイクログロブリン (β2-MG) を, また血清中のサイトカインとして, interleukin-6 (IL-6), macrophage colony-stimulating factor (M-CSF) を測定した. 血清β2-MGは, 両群間に有意差を認めなかった. 血清IL-6についてみると, コントロール群では6.2±2.5pg/ml, CTS群では12.8±20.0pg/mlであり, CTS群において有意に高かった (p<0.05). 次に血清M-CSFについてみると, コントロール群では3.82±0.83ng/ml, CTS群では4.43±0.73ng/mlであり, CTS群において有意に高かった (p<0.01). また, 血清IL-6とM-CSFは有意な正の相関が認められた (r=0.282, p<0.05). 以上より, CTS発症の一因にIL-6とM-CSFの上昇が関与している可能性が示唆された.
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© 社団法人 日本透析医学会
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