日本透析医学会雑誌
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血液透析導入期における膵外分泌機能
床尾 万寿雄小口 寿夫小林 衛矢崎 国彦山崎 徹林 圭介徳永 眞一洞 和彦川 茂幸古田 精市
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1994 年 27 巻 9 号 p. 1247-1252

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抄録
血液透析導入期における膵外分泌機能を十二指腸液採取による直接検査法により測定し, またアシドーシスとの関連を検討した.
透析導入期の, 膵炎合併のなく, またアルコール過飲のない患者11例 (男性7例, 女性4例, 平均年齢45.5歳) を対象とし, 膵外分泌機能検査としてセクレチン100単位1回静注法による直接膵刺激法を施行した. 判定は, セクレチン静注後60分間の総液量 (volume, Vol), 最高重炭酸塩濃度 (maximal bicarbonate concentration, MBC), アミラーゼ総排出量 (amylase output, AO) の3因子を用いて検討した. また, セクレチン試験施行時に動脈血より血液ガスを測定し, 代謝性アシドーシスの程度を評価した.
結果は, Volが4.7±1.0ml/kg, AOが3,396±2,038SU/kgと, 軽度であるが正常域値より有意に (p<0.05) 増加していた. しかし, MBCは97±37mEq/lで正常域値と差は認めなかった. 代謝性アシドーシスとの関係は, VolとpH値との間にr=0.819と有意な相関が認められたが (p<0.05), MBC, AOと代謝性アシドーシスとの間には相関は認めなかった.
長期透析患者では膵外分泌機能の低下が指摘されているが, 透析導入期においては膵外分泌機能はむしろ過分泌であることが示唆されたことより, 今後, 透析の経過に伴う膵外分泌機能の変化を検討することが必要である.
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© 社団法人 日本透析医学会
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