日本透析医学会雑誌
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健常者における血漿エリスロポエチン濃度 (P-EPO) の動態
本村 文一鈴木 唯司寺山 百合子舟生 富寿
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1994 年 27 巻 9 号 p. 1241-1245

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抄録
健常者における内因性エリスロポエチンの動態およびリコンビナント・ヒト・エリスロポエチン (rHuEPO) 投与によるエリスロポエチンの変動について検討した. 対象は健常男子13名, 女子15名で, 午前9時に採血し, 血漿エリスロポエチン濃度 (P-EPO) およびヘマトクリット値 (Ht) を測定した. さらに健常男子5名を対象に午前8時から翌朝8時まで4時間毎に採血, また4時間尿を採取した. 次いでrHuEPO 3,000Uを静注した. また他の健常男子4名に皮下投与した. 投与後, 翌朝8時まで4時間毎に採血, 採尿し, 2日, 3日, 4日, 5日, および7日目の午前8時に採血, P-EPO, Ht, 網状赤血球 (Ret) およびエリスロポエチン尿中排泄量 (U-EPO) を測定した. その結果, 健常者のP-EPOは男子で18.7±1.3mU/ml, 女子で15.5±1.1mU/mlであり両者に有意差は認められなかった. Htは男子45.2±0.9%, 女子38.8±0.6%で女子は有意に低かった. P-EPOの日内変動は午前4時に26.1±2.1mU/mlで最も高かった. Ht, Retは有意な変動を示さなかった. U-EPOは午前4時から午前8時に4.7±0.9U/4hで最高値を示した. なお24時間の排泄量は17.2±2.4U/dayであった. rHuEPO静注においては, P-EPOは4時間後351.4±32.1mU/mlと最高値を示した後, 急速に低下し48時間後には前値に復した. HtおよびRetに有意な変動は認めなかった. U-EPOは投与後4時間まで16.4±3.1U/4hであり, 以後は漸減し翌朝4時から8時は前値と有意差を認めなかった. 24時間排泄量は52.5±6.4U/dayで投与量の1.7±0.2%にすぎなかった. 皮下投与においてはP-EPOは緩やかに上昇し8時間後に最高値の46.4±4.3mU/mlを示し, 4日後には前値に復した. Htには有意な変動は認めなかったが, Retは投与5日, 7日目に有意に増加した. U-EPOは有意な変動はなく, 24時間排泄量は16.4±1.9U/dayで非投与群との間に差異は見られなかった.
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