日本透析医学会雑誌
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血液透析患者の結核症におけるtrehalose-6,6'-dimycolate (TDM) 血清診断法の検討
西川 慶一郎伊藤 周二鶴崎 清之竹垣 嘉訓福井 淳一岸本 武利矢野 郁也松田 淳上水流 雅人寺田 隆久
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1995 年 28 巻 1 号 p. 39-43

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抄録

血液透析患者では肺外結核が多く, 抗酸菌の塗抹検査や分離培養による菌の検出は困難であり, また細胞性免疫能の低下のためツベルクリン反応は特異性が低く, 診断には苦慮する. そこで新しい結核の血清診断法であるtrehalose-6,6'-dimycolate (TDM) 血清診断法を血液透析患老の結核症に応用し検討を行った. 活動性結核の疑われる症例および結核の既往 (非活動性結核) のある症例8例, 非結核症例5例と健康成人5例を検討した. その結果, 活動性結核を疑われた血液透析患者3例の血清IgG分画に抗TDM抗体を検出し, 活動性結核と診断しえた.
さらにTDM血清診断法にて診断しえた微熱の持続する71歳, 女性の臨床経過を検討したところ, SM, INH, RFPの三者併用療法にて微熱は消失し, 白血球の正常化およびCRPの低下に伴い抗TDM抗体価は次第に減少した.
以上よりTDM血清診断法は血液透析患者の結核症においても有用であり, 抗TDM抗体価は患者の病状を反映し推移するため治療を決定するうえでの重要性が示唆された.

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