日本透析医学会雑誌
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Helicobacter pyloriの除菌を契機に難治性胃潰瘍が治癒した維持血液透析患者の1例
徳島 秀次田村 展一叶澤 孝一松村 治御手洗 哲也磯田 和雄糸山 進次関根 進廣瀬 ヒロ子
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キーワード: 胃潰瘍, 血液透析
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1995 年 28 巻 1 号 p. 83-88

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抄録
Helicobacter pyloriは上部消化管粘膜病変の病因に重要な役割を果たしていると考えられている. Helicobacter pyloriが検出された維持血液透析患者の難治性胃潰瘍におけるHelicobacter pyloriの除菌を試み, その結果潰瘍が治癒した症例を経験したので報告する.
症例は45歳, 男性で1990年9月より維持血液透析 (HD) を開始し, 1992年8月に胃潰瘍を合併した. 潰瘍はomeprazoleやranitidineの投与によりH2 Stageまで改善したが, 再びH1 stageに増悪した. このとき施行した胃粘膜生検組織の培養によりHelicobacter pyloriが検出された. Helicobacter pyloriの除菌を目的にamoxicillin (750mg, 毎透析終了時内服) を投与したところHelicobacter pyloriは消失し, 潰瘍も治癒した. 18か月後の内視鏡検査でも潰瘍の再発はなくHelicobacter pyloriも検出されていない.
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