日本透析医学会雑誌
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血液透析患者における血清GOT, GPT活性の低値に関する交絡因子除外例での検討
重井 文博大森 浩之真鍋 康二荒木 俊江有元 克彦松島 寛杉原 克之瀧 正史尾崎 真啓大森 晶彦武田 和久
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1995 年 28 巻 10 号 p. 1337-1341

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抄録
血清GOT, GPT, γ-GTPを157例の健常例および117例の血液透析施行の慢性腎不全患者を対象として対比検討した. その結果, HBs抗原およびHCV抗体両者陰性の血液透析例において, 健常対照例に比して, GOTおよびGPT活性の有意の低値を認め, γ-GTP活性には差を認めなかった. 透析患者および対照例の両群における交絡因子を除外するために, 年齢および肥満の指標としてのbody mass index (BMI) をマッチさせて検討した結果も同様であり, 透析例において, GOTおよびGPTの明らかな低値を認めた. これらの結果から透析患者においてトランスアミナーゼを肝障害の指標とする際には, 正常域上限値を低く設定する必要があり, HBs抗原およびHCV抗体両者陰性のHD例における平均値 (GOT 11.6±4.6IU/l, GPT 8.8±4.4IU/l) に2倍の標準偏差を加えたもの (GOT 21IU/l, GPT 18IU/l) を正常域上限値とすることが妥当と考えられた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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