抄録
CAPD患者のQOLに影響を及ぼす因子につき検討を行った. 対象はCAPD患者35例で, QOLは全般的幸福感, 食欲, 睡眠, 皮膚の色調, 毛髪の状態, 性生活, 労働・家事, 社交性および雇用・家事の9項目を0-2点の3点法で評価した. QOLスコアは3-15点, 平均9.8点であった. 年齢, 性, 導入理由, 原疾患, 透析期間, 腹膜炎の既往, 栄養状態, 貧血の程度および透析効率とQOLスコアとの相関性を検討した結果, 血清アルブミン値とQOLスコアとの間に有意な正の相関 (r=0.5557, p<0.01) を認めた. その他の栄養の指標であるトランスフェリン, 蛋白異化率および上腕囲比においてはQOLスコアとの相関は認められなかった. 低アルブミン血症群 (Alb≧3.6g/dl, n=21) のQOLスコアは3-13点, 平均8.9点で, 正常アルブミン血症群 (Alb≧3.6g/dl, n=14) の7-15点, 平均11.3点に比し有意に低下していた. 項目別では社交性の点で有意差を認めた. CAPD患者のQOLには血清アルブミン濃度が強く関与していると考えられ, 栄養管理の重要性が示唆された.