日本透析医学会雑誌
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血液透析患者に対するCarboplatin投与法の検討
単剤投与にて部分寛解を得た進行性卵巣癌の1例
武田 肇横山 雅好西尾 俊治
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1995 年 28 巻 8 号 p. 1157-1161

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抄録
文献的にほとんど報告のない, 透析患者へのCarboplatin (CBDCA) 投与法について, 同一症例での6コースの経験をもとに検討した.
対象症例は67歳女性. 糖尿病性腎症にて透析導入3か月後に, T4N1MO stage IIIの卵巣原発の類内膜癌を発見された. 体表面積は1.4m2でPSは全盲のため3であった. 化学療法はCBDCA単剤投与とし計6コースを行った. CBDCA投与量は200-300mgで, 投与開始後0-18時間後にそれぞれHD+DHPを行った. 腫瘍は2コースで部分寛解が得られ, 以後10か月間部分寛解が維持できた. 化学療法の副作用は主に骨髄抑制で, CBDCA 300mg投与18時間後にHD+DHPを行った第1コースでは, 計130単位の血小板輸血を要した. 他のコースでは, 骨髄抑制は重篤ではなかった. 第3コースに行ったプラチナの血中濃度測定ではAUC 6.76mg/ml・minであり, このコースの250mg投与後4時間目よりHD+DHPを行った投与法は至適であった.
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