日本透析医学会雑誌
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維持透析患者における一酸化窒素 (NO) 代謝産物の測定
大山 信雄益田 真理久我 由紀子新井 邦彦本宮 善恢土肥 和紘岡島 英五郎
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1996 年 29 巻 1 号 p. 29-35

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抄録

一酸化窒素 (NO) は近年最も注目を集めている物質の一つであるが, 血液透析患者での報告は極めて少ない.
NOは生体内においてほぼ完全に亜硝酸イオンおよび硝酸イオン (NO2-/NO3-, NOx) に代謝されるので, 今回, 維持透析患者30例と保存期腎不全患者20例および健常者19例において血漿中NOx濃度を測定し, さらに維持透析患者群においては血圧および大動脈石灰沈着との関係についても比較検討した. 血漿中Nox濃度は維持透析患者群 (透析前) で平均171.0±96.65×10-6M, 保存期腎不全患者群で136.0±68.76×10-6Mと, 両群とも健常者での平均値 (59.3±31.42×10-6M) に比べ有意に上昇しており, さらに維持透析患者中, 高血圧群および重度石灰沈着群において有意な高値を示した.
今回の検討より, 維持透析患者ではNOx産生亢進が広範囲にわたってみられ, さらにマクロ的血管病変にNOが深く関わっていることが強く示唆された.

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