日本透析医学会雑誌
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虚血性心疾患を合併した慢性腎不全患者におけるジピリダモール (dipyridamole) 負荷心電図試験の有用性の検討
鈴木 一之佐々木 英彦永沼 徹密岡 幹夫目黒 秦一郎寺沢 良夫堀田 修堀籠 郁夫古田 隆史千葉 茂美須藤 克彦黒沢 孝成田熊 淑男
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1996 年 29 巻 10 号 p. 1371-1378

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抄録

虚血性心疾患 (IHD) を持つ慢性腎不全 (CRF) 患者におけるdipyridamole (DP) 負荷心電図の有用性を検討した.
24名のCRF患者 (男性17例・女性7例, 平均年齢60±10歳) を対象とした. CRFの原疾患は慢性糸球体腎炎8, 糖尿病性腎症8, 腎硬化症4, その他4であった. CRFの治療はHD 20, CAPD 2, 保存的治療2であった. 合併したIHDは狭心症14, 急性心筋梗塞7, 陳旧性心筋梗塞3であった. 負荷試験は希釈したDP 0.6mg/kgを緩徐に静注し, 心電図をDP投与前, 直後, 5, 10, 15分後, および異常時に適宜追加記録した. 発作誘発例および有意の心電図変化を認めた症例をDP心電図陽性, その他を陰性と判定した. 全例に標準的冠動脈造影 (CAG) も実施し, 主要冠動脈の75%以上の狭窄を有意と判定した.
DP負荷心電図では, 発作が誘発された7名と有意の心電図異常を認めた6名の合計13名が陽性, 残り11名が陰性と判定された. CAGにて13名のDP負荷心電図陽性例中, 11例で有意狭窄を認めた. 一方11名のDP負荷心電図陰性例では, 2名にのみ有意狭窄を認めた. 従ってsensitivityは85%, specificityは82%, accuracyは83%という結果を得た. DP負荷心電図はIHDを持つCRF患者において, 冠動脈に有意狭窄を有する患者を検出するのに有用であった

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