日本透析医学会雑誌
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29 巻, 10 号
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  • 新しい疾患概念SLACS
    奥津 一郎
    1996 年29 巻10 号 p. 1363-1369
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 一之, 佐々木 英彦, 永沼 徹, 密岡 幹夫, 目黒 秦一郎, 寺沢 良夫, 堀田 修, 堀籠 郁夫, 古田 隆史, 千葉 茂美, ...
    1996 年29 巻10 号 p. 1371-1378
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    虚血性心疾患 (IHD) を持つ慢性腎不全 (CRF) 患者におけるdipyridamole (DP) 負荷心電図の有用性を検討した.
    24名のCRF患者 (男性17例・女性7例, 平均年齢60±10歳) を対象とした. CRFの原疾患は慢性糸球体腎炎8, 糖尿病性腎症8, 腎硬化症4, その他4であった. CRFの治療はHD 20, CAPD 2, 保存的治療2であった. 合併したIHDは狭心症14, 急性心筋梗塞7, 陳旧性心筋梗塞3であった. 負荷試験は希釈したDP 0.6mg/kgを緩徐に静注し, 心電図をDP投与前, 直後, 5, 10, 15分後, および異常時に適宜追加記録した. 発作誘発例および有意の心電図変化を認めた症例をDP心電図陽性, その他を陰性と判定した. 全例に標準的冠動脈造影 (CAG) も実施し, 主要冠動脈の75%以上の狭窄を有意と判定した.
    DP負荷心電図では, 発作が誘発された7名と有意の心電図異常を認めた6名の合計13名が陽性, 残り11名が陰性と判定された. CAGにて13名のDP負荷心電図陽性例中, 11例で有意狭窄を認めた. 一方11名のDP負荷心電図陰性例では, 2名にのみ有意狭窄を認めた. 従ってsensitivityは85%, specificityは82%, accuracyは83%という結果を得た. DP負荷心電図はIHDを持つCRF患者において, 冠動脈に有意狭窄を有する患者を検出するのに有用であった
  • 水口 隆, 水口 潤, 川原 和彦, 石井 保夫, 曽根 佳世子, 川島 周
    1996 年29 巻10 号 p. 1379-1386
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    維持血液透析患者の血清トランスフェリンレセプター (sTfR) 値を測定し, 鉄動態の指標としての有用性を他の鉄パラメータと比較検討した.
    維持血液透析患者207例の血清鉄 (sFe), 血清フェリチン (sFt), sTfR値を測定し, 鉄欠乏が疑われた146例に経口または静注により鉄の補充を行った. 鉄補充開始8週後のHt値の変動 (ΔHt) と鉄剤投与前の鉄パラメータとの相関を検討した. さらに鉄剤投与例中34例ではHt値, sFe, sFt, sTfR, Tf, sFe/Tfおよび網状赤血球を経時的に観察した.
    全対象例においてsTfR vs sFe (R=-0.289, p<0.0001), sTfR vs sFt (R=-0.244, p<0.0005), sFe vs sFt (R=0.240, p<0.0005) とそれぞれ有意の相関が認められた. 鉄剤投与例のΔHtと投与前鉄パラメータとの相関は, sTfR (R=0.428, p<0.0001), sFe (R=-0.224, p<0.01), sFt (R=-0.037, NS) であり, sTfR値が最も強い相関を示し, sFt値は有意の相関を示さなかった. 経時的に観察した34例において, 前TfはΔHt (R=0.412, p<0.05) と正相関を示したがsTfR (R=0.471, p<0-005) に比して相関は弱く, 前sFe/TfはΔHt (R=0.233, NS) と相関しなかった. 鉄剤投与後のsFe, sFt, sFe/Tf, Tf値, 網状赤血球の変動は非腎不全の鉄欠乏性貧血患者と同じ傾向であった. sTfR値は4週後までは有意の変化はなかったが, 8週後には有意に減少した.
    維持血液透析患者においてsTfR値は他の鉄パラメータに比して鉄剤投与後の貧血の変動と良く正相関しており, 鉄剤投与が必要な絶対的鉄欠乏状態の把握には最も良い指標となり得ると考えられる.
  • 羽鳥 基明, 林 雅道, 今井 強一, 山中 英寿, 松本 和久, 松下 磐
    1996 年29 巻10 号 p. 1387-1392
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    CAPD療法の継続に重大な影響を及ぼす腹膜炎の原因として, 近年, バッグ交換時の手技的ミスよりも難治性の出口部感染 (ESI) やトンネル感染 (TI) が注目されている. その治療法は抗生物質投与, unroofing, cuff shavingなどが一般的で, その効果はある程度は認められているが, 最終的にカテーテルロスになる症例も多い. 今回我々は, これらに代わり新たな外科的治療法 (以下本法) を考え, 難治性ESIや外部カフより遠位に限局する難治性TIの4症例に施行した. 本法の手技は, 術野を十分消毒した後, 局所麻酔下で外部カフと一緒に感染部周囲を十分余裕をとり紡錐形に摘除する. その後残存カテーテル断端にチタニウムエクステンダー (Accurate Surgical社) をコネクターとして挿入し, カフ付きの新しいカテーテルを接合する. 摘除した感染巣の跡を十分消毒した後に, 接合部が直線になるように逆U字形に新皮下トンネルを作製して, 基本的に新出口部は旧出口部のやや下方になるようにカテーテルを留置する, というものである. 本法の利点は, 1) unroofingやcuff shavingでは摘除しきれない感染巣が完全に摘除できる, 2) unroofingやcuff shaving施行後は外部カフ欠如のため出口部付近でのカテーテル固定力が低下しESI易再発の可能性, またESIやTIが再発した場合感染が容易に内部カフまで波及し腹膜炎を併発し易い可能性があるが, 本法では新外部カフが存在するためこれらが予防できる, 3) カテーテル再挿入術に比べて手術侵襲が少なく, また患者の心理的負担もかなり軽い, 4) 出口部からチタニウムアダプターまでの間のカテーテルトラブルにも応用できる, である. 本法施行後20から56か月の観察期間中, 透析液の漏れ, カテーテル接合部の離開, 接合部カテーテルの屈曲, 皮下チタニウムエクステンダーの違和感やESIまたはTIの再発などは全例に認めず順調に経過している.
  • 武林 祥裕
    1996 年29 巻10 号 p. 1393-1402
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    向精神薬を対象として透析膜への薬剤の吸着現象の解析を試み, 透析器, 濾過器によって投与量の変更が必要かを検討した.
    対象とした薬剤は, バルプロ酸ナトリウム (sodium valproate: SV), ゾニサミド (zonisamide: ZS), フェノバルビタール (phenobarbital: PB), フェニトインナトリウム (phenytoin: PT), ニトラゼパム (nitrazepam: NZ), ジアゼパム (diazepam: DP), フルトプラゼパム (flutoprazepam: FP) の7種類, 膜素材はpolyacrylnitrile (PAN), ethylene vinyl alcohol (EVA), polymethylmethacrylate (PMMA), polysulfone (PS), cellulose triacetate (CA) を使用した.
    In vitroにおける薬剤の透析膜への吸着実験では37±1℃, 3時間の反応でSVはPS膜に, FPはPS, PMMAおよびCA膜に, NZはPS, PMMAおよびCA膜に, DPはPMMAおよびCA膜に, PBはCA膜に, ZSはPS, EVA, PMMAおよびCA膜, そしてPTはPMMA膜に高い吸着現象が観察された. 次にNZ, ZSおよびPTの3種類の薬剤について実際の透析器を用いて薬液の循環を行い, 薬剤の透析膜への吸着実験を行った. 経時的にみるとNZではすべての膜で30分でほぼ定常状態となり, またその後薬剤の膜からの脱着現象は認めなかった. ZSでは1分の時点ですべての膜で45-96%の吸着を認め, その後はPAN, およびPMMA膜でさらなる吸着現象を認めた. PTでも1分の時点ですべての膜で吸着現象を認めその後PMMA, CA膜で吸着現象を認めた.
    次にNZ, PT, DPおよびSVを実際に服用している患者を対象として各種透析膜を用い透析中の薬剤の動態につき観察した. その結果NZではPMMA, CA, PS膜では3時間の透析中約20%以上の吸着を認めた. DPではPS, CA膜において15分以降吸着を認めなかった. PT, SVではPS膜において3時間の透析中約30%, 約20%以上の吸着現象を認めた.
    今回透析治療中には透析膜への吸着によりNZ, SV, ZS等の薬剤は体外へ除去されることが確認されたことから, 透析中のこれらの薬剤の使用については透析および濾過以外に吸着による体外への除去についても考慮に入れて使用されるべきである.
  • 大島 直紀, 村上 円人, 江口 豊寿, 林 晃一, 猿田 享男
    1996 年29 巻10 号 p. 1403-1408
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    34歳女性. 21歳で全身性エリテマトーデス (SLE) を発症し, 胸膜炎, ループス腎炎を発症するが, prednisolone療法や免疫抑制剤で軽快していた. 1995年5月頃から四肢に紫斑が出現し, 血小板減少 (5,000/μl), 貧血 (ヘモグロビン7.6g/dl), LDH高値 (1,035IU/l) を指摘され入院. 入院後, 脳梗塞を発症し, 末梢血塗抹標本で微小血管障害性溶血性貧血を認め, 血小板減少と併せて血栓性血小板減少性紫斑病 (TTP) と診断した. また, 抗カルジオリピン抗体は陽性であったが, 抗リン脂質抗体症候群の既往はなかった. 3回の血漿交換により, 血液像は一時的に改善したが, 血漿交換中止後5日目には血小板は再び減少. 血漿輸注を400mlから開始したところ, 血小板は増加. 血液像を見ながら20日間で血漿輸注を漸減中止した. 中止後血小板数は減少せず, 退院後4か月を経過したがTTPの再燃を認めていない. 抗カルジオリピン抗体はTTP寛解後も陽性でありTTPへの関与は不明であった. 本例は, 血漿交換の再燃に血漿輸注を行い寛解に導入できたTTPの1例であり, 血漿交換が有効であれば, 再燃時には血漿輸注のみで寛解導入しうる可能性を示唆した.
  • 早川 邦弘, 西山 徹, 大橋 正和, 石川 博通, 畠 亮
    1996 年29 巻10 号 p. 1409-1412
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    内シャント吻合部に発生した動・静脈瘤に対し, 内シャントを温存する動・静脈瘤修復を試みた. 内シャント動・静脈瘤の正常血管構築を保っている部分を残し, 仮性の瘤を形成している部分の壁を適切に形成した後に, 折りたたむように連続縫合で補強することによって同部分のシャント血流を維持した. 長期の成績については今後の検討を要するが, 適切に症例を選べば内シャント温存の点から試みるべき術式と考えられた.
  • 塩酸リトドリンと硫酸マグネシウムの併用療法について
    兼松 江巳子, 西野 るりこ, 小口 健一, 楠本 裕, 川本 正吾, 蟹本 雄右, 北島 和一, 白井 哲夫, 北岡 建樹, 北井 啓勝, ...
    1996 年29 巻10 号 p. 1413-1418
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期透析患者の妊娠, 分娩の1例を経験したので報告する. 症例は透析歴8年の34歳の女性. 妊娠5週にて当院産婦人科受診, 同時に切迫流産と診断され入院となった. 入院後は腎センターにおいて透析を行った. 透析時間は, BUN60mg/dl, Cr8mg/dl以下を目標に, 妊娠の経過とともに週12時間より最終的には27時間まで延長した. 貧血についてはエリスロポエチン製剤の使用により, Ht30%前後に維持可能であった. また, 妊娠15週より子宮収縮抑制の目的でβ-stimulantを使用した. 特に妊娠21週からは塩酸リトドリンの持続静注に変更し, さらに24週より硫酸マグネシウム (MgSO4) の持続静注も併用し, 妊娠を32週まで継続することができた. 特に重篤な合併症を起こすことなく, 妊娠32週で帝王切開を施行し, 1,700g, Apgar score 7点の男児を出産した.
    透析患者の妊娠では, 流早産が高頻度でおこるとされているが, 我々は腎不全では使用し難いといわれている子宮収縮抑制剤を長期にわたり使用して妊娠の継続に成功した. 腎機能障害下における塩酸リトドリンとMgSO4の使用法に関し, 文献的考察を加えて報告した.
  • 福森 知治, 湯浅 健司, 山本 晶弘, 西川 宏志, 小松 文都, 松本 茂, 竹中 章, 寺尾 尚民
    1996 年29 巻10 号 p. 1419-1424
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    発症部位としては非常に稀な, 後頸部に認められた血液透析患者のtumoral calcinosisの1例を経験し, 外科的治療にて良好な結果が得られたので報告する.
    症例は70歳, 女性. 慢性腎盂腎炎による慢性腎不全にて1979年より血液透析を導入. 1989年から右肩痛, 後頸部痛を認め, 頸部X線, CTで, 同部位に嚢胞変化を伴う多房性石灰化を認めた. 二次性副甲状腺機能亢進症の所見は認めなかったが, 血清リンは持続的な高値を示し, カルシウム・リン積は60以上の値を示すことが多かった. 保存的治療に抵抗し, 1991年10月に腫瘤穿刺施行するも, 腫瘤は増大傾向を示し, 後頸部痛が増強してきたため, 1994年3月に腫瘤摘出術を施行した. 術後, 症状は劇的に改善し, 1995年8月現在, 再発は認めていない.
    Tumoral calcinosisの治療は保存的治療が原則であるが, 外科的治療で, 症状の劇的な改善と, 日常生活動作ADLの著明な向上を認めたことから, 今後, tumoral calcinosisが1) 保存的治療で軽快せず, 2) 局所症状が高度で, 3) 限局性である場合は, 患者のQOLを考慮したうえで積極的に外科手術を考慮する必要があると思われた.
  • 森岡 政明, 大橋 洋三, 渡辺 裕修, 増田 秀作, 桑原 和則
    1996 年29 巻10 号 p. 1425-1431
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期血液透析患者に合併した褐色細胞腫を経験し, 血漿カテコラミン値, 画像診断所見および術前後の管理などについて文献的考察を加えて報告した. 患者は47歳, 男性で約18年間維持血液透析を受けていたが, acquired cystic disease of the kidney (ACDK) のfollow-up中にCT scanで右副腎腫瘍が発見され17か月の経過で腫瘍は約3倍に増大した. MRI所見からは褐色細胞腫が強く疑われた. 臨床的に当初は無症状であったが, 腫瘍の増大に伴い軽度の昇圧発作が時々認められるようになった. しかし, 自然軽快することと血漿カテコラミン値が正常であったため診断が遅れる結果となった. 血圧は正常であったので術前のα1-blocker投与は行わずに手術を施行した. 術中術後の血圧, 脈拍変動は軽度で少量のCa-antagonist投与と洗浄赤血球輸血で容易にコントロールされた. 術後の血漿カテコラミン値も術前と同等であり, 腫瘍からのカテコラミン分泌の少ない低活性の褐色細胞腫と考えられた.
  • 日台 英雄, 佐藤 威, 中谷 瑾子, 藤見 惺, 保崎 秀夫, 大澤 炯, 越川 昭三, 前川 正信
    1996 年29 巻10 号 p. 1433-1435
    発行日: 1996/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 1996 年29 巻10 号 p. 1446
    発行日: 1996年
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
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