日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
透析患者にみられた非門脈圧亢進性・非肝硬変性肝性脳症の1例
大西 智一郎西谷 真明神田 光則辻 雅士塩津 智之中村 章一郎
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 29 巻 4 号 p. 327-330

詳細
抄録

我々は, 猪瀬型肝性脳症に対して外科的短絡路遮断術を行った透析患者を経験した. 症例は, 36歳女性. 1989年糖尿病性腎症にてCAPD導入となった. 1990年9月頃より意識障害を認めることが多くなり, 他院でC型肝炎による肝性脳症として加療され, またCAPD腹膜炎を頻回に繰り返すようになったため1992年1月より血液透析に変更となった. 1994年3月26日より再び意識障害が出現したため入院, 精査を行い血管造影で門脈-大循環短絡路を認め, 外科的短絡路遮断術を施行し術後意識状態の著明な改善を認めた. 最近猪瀬型肝性脳症に対して, 肝障害が軽度の場合には短絡路を外科的に遮断することによって脳症が改善し予後良好な例も報告されており, 若干の文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事
feedback
Top