日本透析医学会雑誌
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Interferon α-2bの各種透析膜へのin vitro吸着試験
吉澤 英子越智 文美加瀬 公一郎横山 裕彰岩田 次郎
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キーワード: 透析膜, 吸着
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1997 年 30 巻 11 号 p. 1277-1282

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抄録

透析患者の慢性C型肝炎に対するinterferon α-2b (以下IFN) 療法の薬物動態の結果から, IFNが透析により除去されることを報告した. 今回, 透析膜のIFN除去作用のうち吸着に注目し, 各種透析膜に対するIFNの吸着特性を比較した. 透析膜には, 再生セルロース膜 (RC) であるTFU 10HとAM-FP-15, セルローストリアセテート膜 (CTA) であるFB-130UGA, ポリメチルメタクリレート膜 (PMMA) であるB1-1.3Hおよびポリアクリロニトリル膜 (PAN) であるPAN-13DXの4素材, 計5種類を用いた. 細断した透析膜をIFNを含むブドウ糖液中に添加し, 溶液中のIFN力価を経時的に測定したところ, FB-130UGA, AM-FP-15, PAN-13DXおよびB1-1.3Hはいずれも膜試料添加後5-10分で速やかにIFN力価が低下し, 60分後にはそれぞれ10.9%, 55.0%, 65.8%, 91.4%の低下が認められ, 透析膜へのIFNの吸着性はB1-1.3H>PAN-13DX>AM-FP-15>FB-130UGAの順に高く, TFU 10Hでは吸着を認めないことがわかった. また, ブドウ糖液中におけるIFNの透析膜への吸着性は, 膜素材の疎水性および膜構造が大きく関与していると考えられた.

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© 社団法人 日本透析医学会
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