日本透析医学会雑誌
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透析患者における口腔内アンモニア濃度の検討
浜田 明子飯塚 美伸
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1997 年 30 巻 11 号 p. 1283-1288

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抄録

当院血液透析患者 (以下, 透析患者) 25例を対象に, ガス検知管 (Gastec社製No. 3 La) を用いて口腔内アンモニア濃度を測定し, BUN, 血中アンモニア濃度との関係およびガス検知管の有用性について検討した.
対象は男性16例, 女性9例の計25例 (平均年齢57歳, 平均透析期間74か月) で, 合併症として8例に肝障害, 6例に糖尿病がみられた. 重篤な肝, 腎疾患のない92例を対照群とした.
透析前の口腔内アンモニア濃度 (AV±SD) はHD患者では23.8±25.6ppmで, 対照群の2.7±1.7ppmより著明に高値であった. 透析前の口腔内アンモニア濃度はBUN濃度と有意の相関を示したが, 血中アンモニア濃度とは相関を示さなかった. 透析後, 口腔内アンモニア濃度は8.2±9.6ppmと低下したが, BUNおよび血中アンモニア濃度とは相関を示さなかった. 合併症の違いによる口腔内アンモニア濃度に差はみられなかった.
透析患者ではBUN濃度に相関して口腔内へアンモニアの排泄亢進が認められ, 本法による口腔内アンモニア濃度の測定は簡便で, 透析患者の状態把握に有用であると思われた.

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