日本透析医学会雑誌
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血液透析患者の全身骨密度の特徴および体重の影響についての検討
鶴田 良成大林 孝彰畦倉 久紀高山 文夫青山 功田中 治前田 憲志
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1997 年 30 巻 2 号 p. 101-107

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抄録
血液透析 (HD) 患者の全身骨密度 (以下骨密度) を性別, 年代別, HD歴別に分けて健常人と比較検討した. また, 骨密度に影響を与える因子を性別, 年齢, HD歴, HS-PTH, 体重, 身長について重回帰分析を用いて検討した. 対象患者は成田記念病院血液透析センターの慢性腎不全患者346名 (男性209名, 女性137名). 対照は健常人1385名 (男性431名, 女性954名) の骨密度の値を用いた. 骨密度の測定はDXA法を用い, 測定機種はLunar社製DPX bone densitometerであった. HD患者の平均骨密度は, 対照と比較して男性では30, 40, 50歳代における骨密度の低下が著しく, 女性では40, 50, 60歳代の低下が著しかった (いずれもp<0.001). HD歴3年未満の男性HD患者の平均骨密度は, 50から70歳代の間では健常人の骨密度と比較して有意の差は認められなかった. すなわち慢性腎不全保存療法期には骨密度はあまり低下していないと考えられた. HD歴3年未満の女性HD患者の平均骨密度は40から60歳代の間では健常人と比較してすでに有意の低下が認められた (p<0.01). すなわち閉経前後の女性では慢性腎不全保存療法期には, すでに骨密度は著しく減少することが示唆された. 重回帰分析の結果, 体重の減少がHD患者の骨密度の減少に強く影響していた. このようにHD患者の骨密度の減少の特徴には, 性別, 年代別およびHD歴別による差異が存在していた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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