日本透析医学会雑誌
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30 巻, 2 号
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  • 太田 和夫
    1997 年30 巻2 号 p. 93-100
    発行日: 1997/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 鶴田 良成, 大林 孝彰, 畦倉 久紀, 高山 文夫, 青山 功, 田中 治, 前田 憲志
    1997 年30 巻2 号 p. 101-107
    発行日: 1997/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析 (HD) 患者の全身骨密度 (以下骨密度) を性別, 年代別, HD歴別に分けて健常人と比較検討した. また, 骨密度に影響を与える因子を性別, 年齢, HD歴, HS-PTH, 体重, 身長について重回帰分析を用いて検討した. 対象患者は成田記念病院血液透析センターの慢性腎不全患者346名 (男性209名, 女性137名). 対照は健常人1385名 (男性431名, 女性954名) の骨密度の値を用いた. 骨密度の測定はDXA法を用い, 測定機種はLunar社製DPX bone densitometerであった. HD患者の平均骨密度は, 対照と比較して男性では30, 40, 50歳代における骨密度の低下が著しく, 女性では40, 50, 60歳代の低下が著しかった (いずれもp<0.001). HD歴3年未満の男性HD患者の平均骨密度は, 50から70歳代の間では健常人の骨密度と比較して有意の差は認められなかった. すなわち慢性腎不全保存療法期には骨密度はあまり低下していないと考えられた. HD歴3年未満の女性HD患者の平均骨密度は40から60歳代の間では健常人と比較してすでに有意の低下が認められた (p<0.01). すなわち閉経前後の女性では慢性腎不全保存療法期には, すでに骨密度は著しく減少することが示唆された. 重回帰分析の結果, 体重の減少がHD患者の骨密度の減少に強く影響していた. このようにHD患者の骨密度の減少の特徴には, 性別, 年代別およびHD歴別による差異が存在していた.
  • 梅田 優, 泉 暢英, 山本 光浩, 後藤 毅, 野上 耕太郎, 三村 嘉寿男, 長谷川 宏之, 山田 明甫
    1997 年30 巻2 号 p. 109-115
    発行日: 1997/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    オフロキサシン (OFLX) の光学活性体であるレボフロキサシン (LVFX) の抗菌力, 薬物動態を血液透析 (HD) 患者で検討した. LVFXの阻止円面積は1-2μg/mlの濃度範囲内ではOFLXの約1.3-1.6倍を示した. HD時のLVFXクリアランスは平均113.6ml/min, ふるい係数は0.74でダイアライザー (FB 130U, PS 1.3UW) による差はみられなかった. LVFXクリアランス値は, urea, Cr, Pの実測クリアランス値のそれぞれ約64.1, 67.9, 66.0%に相当した. HD患者におけるLVFXの生物学的半減期は, HD施行時平均約6.3時間, 非HD時約55.4時間で, LVFX初期濃度とHDによる低下率, 半減期には相関性がみられなかった. LVFX隔日投与と4日連日投与群ではともにLVFXの血中残存がみられた. 4日間連日投与後のHD後LVFX濃度は1.34±0.60μg/mlであった.以上からHD患者におけるLVFXの薬物動態の特性が明らかになり, 短期投与時の投与法の目安として100mg 4日間連日投与が妥当であろうと考えられた.
  • 橋本 和明, 石黒 源之, 幾高 敏晴, 安江 由里香, 大熊 俊男, 鳥澤 昌紀, 井上 清明, 皆川 太郎, 高田 信幸, 平野 高弘, ...
    1997 年30 巻2 号 p. 117-123
    発行日: 1997/02/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    心筋障害は長期血液透析患者の約4割に発生し, 患者の生命予後に大きく影響する. 心血管事故を予測することが可能であればその意義は大きい.
    血液透析施行中の78例を対象とし, 前負荷軽減前後に血漿hANPと血漿BNPを同時測定した. 前負荷是正 (除水) 後の全例をhANPが100pg/ml, BNPが300pg/ml以上・以下で分類し4群に分け, 心電図上のST変化・心胸比・左室心筋重量・基礎疾患を比較検討した. hANPの区分はドライウェイトの設定が適切であると判断しうるといわれている100pg/mlに, BNPの区分は心不全症例のNYHA分類で川度の平均値といわれている300pg/mlとした.
    2次元表示上, hANP<100, BNP<300; 前負荷管理良好非心筋障害群 (I群), hANP<100, BNP≧300; 前負荷管理良好心筋障害群 (II群), hANP≧100, BNP<300; 前負荷管理不良非心筋障害群 (III群), hANP≧100, BNP≧300; 前負荷管理不良心筋障害群 (IV群) と分類が可能と考えられた. ST変化陽性群では前負荷軽減 (除水) 前後とも, 血漿BNPが高値で, ST変化陰性群と有意な差を認めた (透析前: 632±337pg/ml vs 123±93pg/ml, p<0.01, 透析後: 587±301pg/ml vs 109±73pg/ml, p<0.01). 前負荷管理が良好であるI群とII群を比較すると, 心胸比はII群 (BNP高値群) に大であり (56±8% vs 51±5%, p<0.01), 左室心筋重量は134±33g/m2 (vs 125±29g/m2, NS) であった. II群 (BNP高値群) では基礎疾患で糖尿病が25% (I群は20%) 認められ, ST変化陽性例は有意に (42% vs 20%, p<0.01) 多かった. 前・後負荷の持続により生ずる遠心性求心性肥大では心筋重量の増加, 心筋虚血の進行が血中BNPの増加を規定していると思われた. 前負荷の補正により血漿hANPが改善して後も, 血漿BNPが高値を示す症例はハイリスクであり, 血漿BNPは血液透析患者の心血管事故の予測因子であろうと示唆された.
  • 岡田 知也, 篠 朱美, 花田 麻紀, 山田 親行, 高橋 宏実, 韓 明基, 小倉 誠, 金澤 良枝, 中尾 俊之, 豊嶋 穆, 鈴木 利 ...
    1997 年30 巻2 号 p. 125-130
    発行日: 1997/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    糖尿病 (DM) 透析患者における胃運動機能を評価し, 胃運動障害が消化器症状の発現, 栄養状態に及ぼす影響について, 非DM透析患者と比較検討した. DM血液透析 (HD) 患者19名, 非DM-HD患者23名, DM腹膜透析 (CAPD) 患者15名, 非DM-CAPD患者22名の4群を対象に, アセトアミノフェン法により胃運動低下例 (D例), 正常例 (N例) に分類し, 消化器症状, 各種栄養指標に関する評価を行った. HD, CAPDを合わせたDM透析患者は, 非DM透析患者に比し有意にD例を多く認めた (65% vs. 36%, p=0.019). 各群別にみると, DM-HD患者の58%, 非DM-HD患者の39%, DM-CAPD患者の73%, 非DM-CAPD患者の32%がD例に該当した. 消化器症状の有無を各群で検討したところ, 非DM透析患者ではHD, CAPDともD, N例にかかわらず症状を認めなかったのに対し, DM透析患者ではHDのD例で18%, CAPDのD例で73%に消化器症状を認め, HDに比しCAPDに症状の出現頻度が高かった (p=0.019). HD患者ではDMの罹患によらずD, N例間でBMI, 血清アルブミン, 筋肉量, PCRに差を認めなかった. 一方CAPD患者において, DM患者のD例は非DM患者のD, N例やDM患者のN例との比較において筋肉量が最も低値であった. 以上より, DM透析患者のうちCAPD患者において, 胃運動障害を伴う場合には, 消化器症状を発現し易く, 食事摂取不足から生ずる栄養障害の一因となり得る可能性が示唆された.
  • 柳澤 孝嘉, 大坪 修, 高橋 郁夫, 島田 知則, 野崎 治重, 矢島 愛治, 竹田 譲, 青木 学, 保坂 一則, 稲生 綱政
    1997 年30 巻2 号 p. 131-135
    発行日: 1997/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    内シャント合併症をもつ6例に, 単純内シャント血管造影法および3dimentional CT angiography (3D-CTA) を行い比較検討した. 3D-CTAの技法としてはshade surface display法を使用し東芝製CT scan X vison-GXを使用し行った. 動脈, 静脈の病変部描出は単純内シャント血管造影法の描出と一致した. また, シャント血流量の多い症例においては動脈および静脈描出に優れていた. さらなる3次元構成のソフトウェアーの開発の必要性はあるが, これから汎用される画像診断法と思われた.
  • 小野 満也, 池添 正哉, 山口 博, 佐藤 博司, 塩沢 哲, 石亀 廣樹
    1997 年30 巻2 号 p. 137-140
    発行日: 1997/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は51歳男性. 昭和55年より慢性糸球体腎炎による慢性腎不全にて慢性血液透析に導入となったが, 水分管理は不良で高血圧を呈し, 次第に心拡大が進行した. 昭和63年社会復帰目的にてCAPDに移行した. その後も心機能が低下し, 拡張型心筋症様のうっ血性心不全を認めたため, metoprolol tartrateを投与した. 症状は改善し, 突然死するまでの約7か月間自宅療養が可能であった. 剖検組織所見にて心筋にびまん性線維化を認めたが, 典型的な拡張型心筋症の所見ではなかった. 重度うっ血性心不全をもつ透析患者に対してmetoprolol tartrateの微量投与が有効な場合があると考えられた.
  • 大井 景子, 山本 裕康, 重松 隆, 川口 良人, 酒井 紀, 池本 庸, 大石 幸彦, 田中 宏, 多田 信平
    1997 年30 巻2 号 p. 141-145
    発行日: 1997/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    後天性多嚢胞腎 (acquired cystic desease of the kidneys, ACDK) に腎細胞癌 (renal cell carcinoma, RCC) を合併し, 血中エリスロポエチン (erythropoietin, EPO) 濃度が腫瘍マーカーとして有用であった透析患者の1例を経験した. 症例は14年の透析歴のある50歳, 男性. 腹部CTにて左腎下極に充実性腫瘤を認め, その後rHuEPOの投与を行っていないにもかかわらず, Htは33%, 血中EPO濃度は57.8mU/mlと維持透析患者としては高値を示したため, EPO産生腎細胞癌が疑われ経過観察されていた. その後, 腫瘤はさらに増大し, 血中EPO濃度も122mU/mlと上昇したため, 根治的左腎摘出術を施行した. 病理組織診断はrenal cell carcinomaであった. 術後, 血中EPO濃度は15.7mU/mlまで低下した.
    維持透析患者において, 血中EPO濃度がACDKに合併したRCCの腫瘍マーカーとして有用である症例も存在し, 興味深い症例と考え報告する.
  • 野澤 明彦, 福真 隆行, 成田 浩二, 岩元 利裕, 坂本 孝志, 小浜 卓朗, 酒井 英二, 山口 保, 夷岡 迪彦
    1997 年30 巻2 号 p. 147-152
    発行日: 1997/02/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は57歳, 女性. 昭和59年より慢性腎不全と診断されていたが, そのまま放置されていた. 昭和63年, 心不全状態となり, 慢性維持透析に導入となった. その後, 透析を続けていたが, 左下肢安静時疼痛が出現し, 慢性閉塞性動脈硬化症 (ASO) と診断され, 精査・加療のため平成8年6月当科入院となった. 入院後, 透析中に突然出現する低血圧を認め, さらにASO手術後抜管時の低血圧に対して使用したcatecholamineにより低血圧の助長を認めた. この低血圧の機序を明らかにすべく, 以下に検索を行った. その結果, 左心室造影による心室乳頭筋レベルの閉塞, UCGによる左室前流出路の圧較差の存在, 透析中の同部位での圧較差の変動, dobutamine負荷による圧較差の増強, β遮断薬による圧較差の減少を認めた. 以後, β遮断薬投与により透析中の急激な低血圧もなく順調に維持透析を続けられるようになった.
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