日本透析医学会雑誌
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四肢切断術を施行した透析患者の検討
渡邊 紳一郎白井 純宏副島 一晃田島 暁副島 秀久
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1998 年 31 巻 1 号 p. 53-56

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抄録

1991~97年の間に四肢切断術を施行した透析患者12例について, 原疾患, 切断の部位および回数, 心合併症の有無および予後等を検討した.
患者は男性7例, 女性5例, 平均年齢は71歳で男女差を認めなかった. 切断の原疾患は閉塞性動脈硬化症 (ASO) が疑われるもの9例, 糖尿病 (DM) が疑われるもの10例で, 両疾患の合併を7例に認めた. 切断までの透析歴は平均6年で, 切断部位は大腿4例, 膝関節部1例, 下腿8例, 中足骨2例, 足趾5例, 手指2例であった.
心合併症として心臓超音波検査で7例に壁の運動低下および肥大を認め, この7例全例で心臓カテーテル検査で冠動脈疾患を認めた.
予後は生存4例, 死亡8例で, Kaplan-Meier法で全体の1, 2年生存率が54%, 40%であった. このうち冠動脈疾患のある例では1, 2年生存率が62%, 31%, 無い例では1年生存率が75%, 2, 3年生存率が50%と冠動脈疾患を有する例で予後不良の傾向を認めた. 切断部位別では足趾のみの切断例では最長18か月の観察期間で死亡例が無いのに対して, 中足骨以上の切断例では1, 2年生存率が42%, 28%と著明な差を認めた.
血液検査では, 壊疽を認めない当院の外来透析患者60名を対照として比較すると, 切断例で尿素窒素, 血清クレアチニン, 血清アルブミンが有意に低く, CRPが有意に高かった.

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