日本透析医学会雑誌
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Erythropoietin (rHuEPO) による血圧変化と血中エンドセリンおよび一酸化窒素の変動
島田 憲明長田 しをり海老原 功溝口 雅康坂 伸二田中 重光田中 新樹小出 輝
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1998 年 31 巻 5 号 p. 945-951

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抄録

エリスロポエチン (rHuEPO) 療法に伴う高血圧発症の防止は極めて重要な問題である. 著者らはrHuEPOによる血圧変化の機序解明のためrHuEPOのendothelin (ET), nitric oxide (NOx), thromboxane B2 (TXB2), prostacyclin (6-keto-PGF1α), cyclic guanosine 3', 5' monophosphate (cGMP) に及ぼす影響を検討した. ヘマトクリット25%以下の安定した維持透析患者15名 (男性7名, 女性8名) を対象とした. エポエチンβ3,000単位を週3回透析終了時静注し, 投与前, 2週後, 4週後に血中ET, TXB2, 6-keto-PGF1α, cGMPをRIA法にて, NOxをHPLC法で測定した. 結果: 1) rHuEPO投与後血圧は血圧上昇群では平均8%上昇したが, 血圧非上昇群では平均6%低下した. 2) 透析患者では血清ET値は高値を示した. rHuEPO投与により血圧上昇群では変化を認めなかったが, 血圧非上昇群では血清ET値は有意に低下した. 3) 透析患者では血清NOx値は高値を示した. rHuEPO投与により血清NOx値は血圧上昇群では有意に低下したが, 血圧非上昇群では変化を認めなかった. 4) ET/NOx比は血圧上昇群で有意に上昇し, 血圧非上昇群で有意に低下した. 5) 血小板数は血圧非上昇群で有意に増加し, 血小板数と血清NOx値との間には有意な正の相関が認められた. 以上の結果はrHuEPO投与による血圧の変動には血清ET, NOx値の変動とともにET/NOx比が重要であることを示唆している. 血清NOxの増加にはrHuEPOによる血小板増加の関与の可能性も推測された.

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